㉒ 教室に戻ると一輝しかいなかった。
教室に戻ると一輝しか見当たらない! 上原先生はいなかった。
「雪ただいま戻りました! あれ? 上原先生はどーしたの?」
「上原先生は、もう職員室に戻ってったよ! 俺が、残りしおりの作業の事を話しといたから大丈夫」
残りの作業は、コピーして人数分のしおりを作れば終わりだった。
「じゃぁ、一輝と雪ちゃん、早くコピー室に行って、コピーしてきちゃおうよ!」
「コピーして来るだけだろ! 俺待ってるよ」
「一輝も一緒に行かなきゃ駄目だよ! 何枚コピーすると思ってんのかな……? 私と雪ちゃんは女の子何だから、重い物持たせないでよね!」
「そんくらい持てるっしょ?」
「やだー! こんな時こそ、男らしさ見せて欲しいじゃん。私達のこと女の子扱いしてよね! あ、お姫様扱いかな……ねぇ雪ちゃん!」
美優がニコニコしながら、雪の顔を覗き込んできた!
「ちょ……男らしさって……」
(女はめんどくせぇな……可愛いけど……)
「雪も一輝の男らしさ見たいな!」
「はいはい、分かりましたよ! 荷物持ちすれば良いんでしょ! しますよちゃんと……」
結局三人でコピー室に移動することになった。
──コピー中──
「時間掛かるし、何か暇だね! 私ね、一輝と雪ちゃんと仲良くなれて嬉しいんだ! ありがとう」
「やっだー、改まってありがとうだなんて! 美優ちゃんは真面目過ぎるところもあるんだよ! もっと皆と楽しく学校生活送ろうね!」
「楽しむって難しいけど出来るかな……どうすれば良いのかわかんないけどね」
「私の方がわかんないけど……いきなり女の子何だから! これから先一緒に沢山遊ぼうよ……ね!」
「うん、そうだね!」
「じゃあさ、今日はどっかで夕飯一緒に食
べてこうぜ。腹減るじゃん……親に連絡入れとけばへーきへーき!」
「わーい! 一緒に行きます。今親に連絡入れときますね」
「雪も親に連絡しとこー! 一輝と一緒って伝えとくね!」
「おう、サンキュー」
✩
コピーが終わった!
「凄い量だね……雪も運ぶよ」
「女の子何だから無理しないで下さい。雪ちゃんは私と半分こずつですよ……」
「じゃぁ、残りは全部俺かよ!」
「えへへ、そうだよー頑張って下さい!……ね、雪ちゃん」
「うん、うん、一輝頑張って!」
女子二人に応援されながら、一輝は教室まで足早に運ぶと、半分まで歩いてきていた美優の元に行き、持ってる用紙を運んだ。それから、また廊下を戻って、雪のところへ駆けつけた。
「雪はなんでそんなに歩くの遅いんだよ! 」
「だって重いんだもん!」
(外見と声は女の子で、心は男の時のままだけど、力も女の子になってるのね……)
「荷物俺が持とうか?」
「うん、ありがとうね」
おろおろする私の手から、一輝は荷物を受け取ると、私と並んで歩き始めた……何でか姉弟なのに、二人きりで歩くのが恥ずかしかった。
コピー室は、下の階で、教室は上の階だから階段を登らないと行けなかった。
先に行って良いよと言われて、先頭を歩く……、でも、パンツが見えそうで、後ろに一輝がいるのが気になって、後ろのスカートを手で何度も触って大丈夫か確認しながら歩いた。
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