《現実世界》 2
《現実世界》
2019年 1月11日
日本 泥火市
ツイ…ナー?……
『ツイナー』、そう呼ばれる者に変身した星人。星人自身もまだ困惑している、何故自分にこんな『力』があるのかを。
だがそんな事を考えている場合ではない、敵が、カブトムシの『怪人』、『カブト怪人』がツイナーを敵だと思ったのかツイナーに襲いかかる。
バキッ!
『カブト怪人』の手の爪がツイナーの胸元をひっかく。ツイナーはダメージをくらう、しかし。
しまった!… あれ?…
星人は『カブト怪人』の爪でひっかかれた部分を確かめる。ツイナーの身体には何一つ傷も無い。
この身体… 頑丈なんだ…
星人が理解したその後の事だった。
バキンッ! バキンッ! バキンッ!
連続でひっかき攻撃をくらわしてくる『カブト怪人』、効かないという事に気づいていないのだろうか。
効かないけど… やっぱり…痛ぇ…
ツイナーは反撃する、『カブト怪人』の連続攻撃の後にカウンターで『カブト怪人』の腹を攻撃、パンチをくらわす。さらにパンチ、またまたパンチ。パンチを連続にくり出す。
しかし『カブト怪人』も黙ってはいなかった。
ビュゥンッ!!
『カブト怪人』は羽を使って一気に遠くまで後退する。
後退した『カブト怪人』、角がまたもや光りだす。
ビカアアアァァァァァァ!!
ビームが放たれた。ツイナーはそのビームをくらった。
キシャァァァァ…
『カブト怪人』はツイナーがやられたかを確認する、辺りを見渡しツイナーがいないかどうかを確める。
いない。
ツイナーがいない、さっきのビームでやられたと思った『カブト怪人』は再び人々を殺そうと動き出す。
ボコンッ!!
と思いきやガレキの山から何か出てきた。『玉』だ、出てきたのは縞模様のような線が入った青い『玉』だ、見た目はなんとなく『大きなダンゴムシ』に見える。
キシャァァァ……
何だこれ?とよく見る『カブト怪人』。
グワン!
すると一瞬にして『玉』が変形した、人型になった。率直に言うならば、『玉』が『ツイナー』に変わった。
ドオォン!!
ツイナーは油断した『カブト怪人』のアゴを殴る。
その次に、腹、腹、顔、頭、また腹を攻撃。
「終わりだ!」
口は無いように見えるだけでしゃべれるようだ。
ツイナーの右手が光り輝く、青く輝く。とてつもなく光り輝いたらその拳で。
ドコオオオォォォォォォォォォォォォォン!!
『カブト怪人』を殴る。『カブト怪人』は吹き飛びはしなかったが。
…グ………グ………グ……
ピキ……ピキピキピキピキピキピキ…
『カブト怪人』はヒビが入り。
ドカアァァァァァァァァァン!!
爆発した。
ドシュウウゥゥゥゥゥゥゥン!!
その時、爆炎の中から『花火のような光』が飛び上がった。
しかしこれで『カブト怪人』は倒された。
「倒せた…のか……」
ツイナーはそう思った、たしかに『カブト怪人』は倒せた。倒したと同時に。
シュワアァ……
ツイナーの『光身』が解けて星人の姿に戻った。
「……けど、美月も…愛桜も…光も、次郎も………死んでしまった……」
と落ち込む星人。友を、恋人を失った悲しみはとてつもなく大きい。
「星ちゃん…」
と懐かしい声がする、何故か懐かしいと感じたが聞き覚えのある声が星人の後ろから聞こえてきた。
「………美月……」
星人は振り向くとそこには愛する人、美月がいた。
そして美月だけではなく愛桜、光、負傷した次郎もいた。
「美月!…」
星人は美月のもとまで走り出し抱きしめた。
「……無事でよかった…」
星人は大切な人を強く抱きしめた、それは大切に。一度失ったと思ったほどだからさらに大切に思えただろう。
実は美月達はさっきのガレキの山の向こう側にいたのだ。それを星人はガレキの下敷きになったと勘違いしたのだ。
「星ちゃん…さっきの、何?…」
と美月はマイペースに問いかけるがそれは星人にとってとても大事なことを聞いている。
「……み、見てたのか?……」
「うん…」
「……わからない……」
ためらった言葉で話す星人。
「突然『光身』できたんだ…変な『声』が聞こえてきて……」
と話す星人。
「『光身』?…『変身』じゃなくて?」
と別にどうでもいいことを気にする美月。
「まぁそれは置いといて……俺にもよくわからないんだ、何か『声』が聞こえて、それで俺に戦えって言ってきて、そしたらツイナーになった…」
「『ツイナー』?」
美月は問いかける。
「その『声』が言ってきたんだ、俺が『光身』した姿をツイナーと呼ぶって…」
とまた説明する星人。
「へぇ、おまえが『ツイナー』か……」
声をかける人物が一人。
星人達はすぐさま声のする方へと振り向く。
「よぉ!」
そこにはアロハシャツを着た青年がいた、いわゆる『ギャル男』のような男。
「おまえ、何だ!?…」
星人はそう叫ぶ。
「俺か?俺は、『魔王』。」
と男は名乗る。
「『魔王』?」
「ふざけてんのか!?」
星人はまたもや怒鳴る。
「残念だけどふざけてない、俺は『魔王』、『地の魔王』さ。」
と男は再度名乗る。
「おまえ、ってゆうか『ツイナー』か、強いなぁ。あの『魔人』をぶっ倒したんだからな。」
「『魔人』?…」
星人は問いかける。
「おまえが倒したヤツさ、あれは怪人じゃねぇ、『魔人』って言うんだ。」
と『魔王』は説明する。
「それは、あなたが名付けたのでは?…」
と愛桜は聞くが。
「違うね、名付けたのは俺じゃなく『神様』だ。」
と『魔王』は答えた。
「『神様』?……」
「あぁ、本当の意味で『神様』。西後から聞いてないか?『神様』が日本中に伝言を言わしたって言ってたけどなぁ。」
と『魔王』は不思議がる。
「西後って総理大臣の?…」
美月。
「そっ!」
元気な声でうなずく『魔王』。
「じゃぁ1年前の『予言』は…」
星人。
「そ、『神様』が西後の前に現れて言うように仕向けたんだ。そしてどれくらいの人間が信じるか否かを見定めたんだ、1年の有余を与えてな。」
星人は唾を飲む。
「結果、1万人中……」
『魔王』は右手の指を1本立て。
「1人。という計算の数しか人間は信じなかったね。」
左手の指を1本立てて答える『魔王』。
「これは『神様』からツイナー、おまえに教えてもいいと言われた『魔人』のシステムだ。」
「『魔人』のシステム?…」
「『魔人』には『4種類』いてな、陸を主に行動する『地タイプ』、空中戦を得意とする『天タイプ』、水中からやって来る『水タイプ』、そして地、天、水のどれでもいける『虫タイプ』の4種類だ。そして、そんな強い『魔人』達を率いているのが俺達『魔王』様というワケだ。」
と教える『魔王』。
「それで『魔王』か…」
と理解する美月。
「そんで『魔人』の役目は人間を『サカ』させる事だ。」
続けて説明する『魔王』。
「『サカ』?……」
「『砂』に『化』と書いて『砂化』、つまり人間を砂に変える事だ。」
その言葉を聞き星人は思い当たる事を思い出す。たしかに、あの『カブト怪人』改め『カブト魔人』は警察官を始め多くの人を『砂』に変えていた。
「何でそんな事を!」
星人はダメ元で聞いてみた。
「西後から聞いたハズだ、『おまえ達人間をこの世界から消し去る』って。」
星人はそれを聞いて『魔王』をにらむ。
「やっぱり…本当なのか!…」
「ん?おまえも『信じてなかった』の方か?本当、もちろん、その通り!『神様』はこの世界を滅ぼす気だ。」
『魔王』は笑いながら言う。
「……光身!!…」
星人はもう一度『光身』しようとするが。
ドクンッ!
「…うぁっ!?…」
『光身』、もとい変身ができない。
「ぐっ!……」
星人は膝が折れ倒れる。
「星ちゃん!…」
美月は星人を支えようとする。
「止めとけ止めとけ、さっき『光身』したてだろ、まだ身体がツイナーの力について来れてねぇんだろぉから止めとけって。」
と『魔王』は言う。
「じゃ、俺は行かなきゃいかんから。」
と『魔王』はどこかに行こうとする。
「俺を倒すチャンスはいつか来るから楽しみにしてな♪」
そう言うと『魔王』は。
シュッ
と消えた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
星人は去る『魔王』を見ているだけだった。
「あ!次郎は!?光は!?…」
ヨロヨロになった身体で友人を心配する星人。
「まだケガをしてたから安全な場所に寝かせてあるんだけど!やっぱりお医者さんに見てもらった方がいいかも!…」
星人と美月と愛桜は次郎と光のいる場所まで行く。
「あ!いたいた!」
次郎と光は無事で光は手を振っている、次郎は横になっている。重傷であまり動かさない方がいいと判断したのだろう。この辺りに医者はいない、医者を探すか医者のいそうな場所まで運ぶしかないと思われる。
ビカアァ!!
突如次郎と光が『光るシャボン玉状の透明な物体』に包まれる。
「えっ!?」
「何だ、これ!?」
星人達はおどろき、2人を出そうと『シャボン玉』を叩くが『シャボン玉』のように見えるだけで硬くて割れない。そして『シャボン』は。
ビュゥン!!
一瞬にして空の彼方に飛んで行った。
「次郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「光ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!」
友人が『シャボン玉』に連れて行かれた。