《現実世界》 0
《現実世界》
2019年 1月1日
世界中が新たなる年を向かえ人々がまた一歩未来へと進んだ時間帯。多くの人が初日の出を見たり、餅つきをしたり、初詣に行ったりなど正月を楽しんでいた。
だがそんな楽しい時期に一つの『事件』が起きた。その『事件』がまず起きた場所は日本、正月の朝8時のころであった。
正月のスペシャル番組を見ていたのに突如全てのチャンネル、全ての番組が当時の総理大臣『西後勇助』の緊急記者会見の生中継となった、西後は60代の男性、白髪が黒い髪と縞模様のように生えている老輩。
テレビに映った西後総理大臣は汗をたくさん流し緊張したような表情をしていた。そして総理大臣は話し始めた。
「え………え~…日本全国の皆さん…総理大臣の西後勇助です……私の願い通りであれば、この放送を日本の全国民が見ている事でしょう…できればそうあってほしいと私は今も思っております……皆さんは『ノストラダムスの大予言』を知っているでしょうか?…あの『1999年に『恐怖の大魔王』が宇宙からやって来て世界を滅亡させる』という予言者『ノストラダムス』の予言です、この話は当時世間が起きるのではないかと騒がせたものです…オカルトな話ですが最後まで聞いてほしい…これと類似した話があります、それが南米の奥地にある遺跡『マヤ文明』に書かれていた『2012年世界滅亡』という予言です、これも7年前の人々の間で騒がせたオカルトの話です…幸い、どちらの予言共にハズれました…何でこんな話をこの正月、おめでたい新年の第一歩であるという今日に何故このような話を…するのかと言うと…………」
西後はこの話の途中で黙りこむ、何か緊張したような顔つきとなっている。まるで『誰か』に脅迫されているような緊張した表情。
「昨日の大晦日23時59分から1分経った今日の0時に…『報告』があったのです!…」
といきなり大声を出す西後、何かふっ切ったかのような表情だ。
「来年、2020年!総てを司る『神』がこの世界に降臨します!!そして『神』は!この世界を!この悪人だらけの汚れてしまったこの世界を!滅ぼすつもりなのです!そう、今日『神』が私の前に現れ告知したのです!『おまえ達人間をこの世界から消し去る』と!」
西後は頭がおかしくなったと思われ他の議員に止められるが西後勇助はまだ大声で怒鳴る。
「『神』は怒っていました!この世界、この人間の文明社会に!殺人、窃盗、不正、イジメ!この世には良いところが一つも無いと!この世は駄目だと!この世界は滅ぼすに値する世界だと!回避する方法は!!……」
話の途中で議員に一斉に押さえこまれ喋れなくなった。そして西後総理大臣のテレビ会見は中止となった。その後西後がどうなったかというと精神病院に送られ総理大臣を強制的に退任させられてしまった。
何故西後はこのような発言をテレビを利用してまで話したのだろうか。理由は当時の世間はわからなかった。
このような発言をしたのは西後だけではなかった、アメリカの大統領、イギリスの女王、イタリアの評議会議長、中国の総理大臣、各国の首相達が次々と日本の西後首相と同じように『神』が降臨し世界を滅ぼす、と言い出したのだ、そして同じように精神病院に入れられた。
この話はテレビに流れ各ニュースの話題となった、一人だけならまだしも世界中の政府のトップが一斉に話し出した、つまりこれは本当なのだろうか、もしくは首相の全員で示し合わせた大げさなパフォーマンスなのだろうか、また予言ではあるがハズレるであろうか、などと世間を騒がせた。
この発言から1ヶ月後の2月の事であった、精神病院に入れられた各国の首相の内の一人、西後が『行方不明』となった、厳重になっていて一人たりとも脱け出す事はできない精神病院から忽然と姿を消した西後、この行方不明事件はしばらくニュースで話題となった。西後だけではない、各国の首相達が次々と行方不明となった、これは『神』からの天罰なのだろうか、はたまた何者かの隠謀だろうか。
この恐怖、不安を抱きながら生きる人々、どうせ世界は無事だと決めつける人々、どうなるだろうかとワクワクと楽しむ人々は2019年の1年間という時を過ごし来年『2020年』を迎えた。
この年になったという事は『神』による世界の『終末』の、カウントダウンが始まったという事だ……