日向の言葉
ある日の放課後、日向が私の顔を覗き込んで言った。
「なぁ、深月って、何で喋んねーの?」
疑問形・・・、答えないと面倒だな・・・。
「放っておいて」
私は仕方なく小さく言った。
日向は私が言ったことに構わず、
「深月、今日予定ある?」
「・・・無いけど。」
私は素っ気無く言った。
「ふうん。」
日向はそれだけ言うと教室を出ていった。
・・・何だろ。
私は鞄を持って立ち上がった。
玄関に行くと、日向がいた。
「深月、ファミレス行かね?」
「は?ファミレス?何で」
「いーじゃん行こうぜ!」
と日向は私の手を引き、自転車に乗った。そして、少し進んでから、
「ほら、早く」
といった。
早く自分の時点書に乗れと。
・・・滅茶苦茶。でも、誰かとファミレスなんて初めて。
私は自転車に乗ると、ペダルを漕いだ。
「行こ」
私が言うと、
「・・・何だ、深月フツーに笑えんじゃん。」
「・・・え?」
「深月、今まで笑ったことなかっただろ」
日向は明るく笑って言った。
「笑ったほうが可愛いよ」
・・・!!
耳まで熱くなる。初めて可愛いって言われた。
「・・・日向、何も考えずに言ってるの?馬鹿にしてる?」
「いや、ちゃんと考えて言った。馬鹿にもしてねーし。俺・・・」
そこで日向は言葉を切った。
「俺、深月のことが・・・好きだ」