act.1 平凡少年の日常
6月7日再編集しました。
穏やかな春うらら。柔らかな陽光が下界を優しく照らし、あちこちでは花の蕾や若い芽ががほころび、小鳥たちの囀りもまるで春の訪れを喜んでいるかのようだ。
暖かな風が頬を撫でる。窓から差し込む光は、そっと体を包み込み、ジワジワと眠気が全身に染み込む。それに身を委ねると、波に運ばれように徐々に意識が遠くなt.....
「晃 星宿、起きろっ!!」
.....野太い怒声で目が覚めた。
「全く、貴様は入学以来不真面目な態度を取りおってー儂らを馬鹿にしてそんなに楽しいのか」
ー最悪だ。
気持ちよく 昼寝しているところを起こされ、寝起きに真っ先に見たものが中年教師の顔だなんて厄日としか思えない。入学以来ずっと居眠りし続け、一月経った今では注意される事なく黙認されるようになってきた というのに。 まあ、諦められたとも言うが。 最低限、うるさそうな教師の授業だけは真面目に受けるようにしていたのだが、 全く油断していたとしかいいようがない。
どうやら、この教師は特に煩いタイプらしい。このまま授業が終わるまで、お小言のループが終わることはないだろう。早々に解放される事を諦める。せめて、罰として大量の課題が出されることだけは避けたい。悶々と考えていた俺に救いの手が差し伸べられたのはその時のことだった。
「先生、ソイツに構うより早く授業を再開して頂けないでしょうか」
声は隣席からのものだった。なんか、今遠まわしに嫌みを言われたような。いや、なりふり構っていられない。嫌みを言われようが、教師の延々と続くお小言に比べたら、なんてことはない。
「しかしだな、大林。今日という今日はコイツに説教を」
「今は一人の為の時間ではありません。多数の生徒の為の時間です。それに、授業を続ける方が重要です」
「・・・・」
隣席の少女-雅 大林は教師を見事、論破したようだ。敗北した教師はとぼとぼと教壇へ戻っていく。相変わらず、すごいことをやってのけるやつだなぁ。
隣席の少女-大林を語るなら、優等生という言葉は外せないだろう。学業は優秀、剣技も全校生徒の中で五指に入るくらい強く、魔法も剣技程ではないが平均より下回ることはない。外見も、整った顔立ちをしていて、その艶やかな黒髪を頭の両側で結わえている。だが、そんな完璧に見える美少女にも一つだけ欠点がある。それは、性格だ。
大林は正義感が強く、自分が正しいと思う事に関しては決して折れない。しかし、それは普通の人間にとっては引かれる要因なのだろう。事実、優等生ではあっても生徒はもちろん教師陣にも敬遠されている。悪い奴ではないとは思うんだが。それでも、一部の男子生徒は告白したが、即座に玉砕。また、大林に踏まれたり罵られたいと願う非公式のファンクラブがあるとかないとか.....
因みに、俺は大林に嫌われている。きっと、優等生にとっては俺みたいな劣等生は許せないんだろう。時々、授業中に視線を感じると、凄い目つきで睨まれていることがある。ほら、現に今だってー目が合った.....一応先程の礼に軽く頭を下げたが、すごい勢いで顔を逸らされた。どうやら顔も見たくないくらいに嫌われているようだ。




