僕と幼なじみ
「ねえねえ。道隆君。今日のてんびん座の運勢知ってる?知らない?あぁーもう仕方ないなぁ。教えてしんぜよう!な・ん・とっ!……三位でしたー!あははっ!ビミョーだよね。」
「じゃあ、ふたご座は?」
「ふたご座?ああ、道隆君の誕生日か。えーとねぇ。多分6位とか8位とかその辺だった気がする。うん!多分7位だ!」
ほれほれ、三位のあたしに跪けー、隣の少女が話している。喋る猫のニアと同居が決まったその日の学校帰り。僕はある問題に直面していた。
「にしても暑いねぇ。こんな日はクーラーの効いた部屋で猫ちゃんと戯れるに限るっ!待っててねー、猫ちゃーん!」
満開のひまわりのような笑顔で少女―向島まきるが言う。
肩に届くか届かないくらいの髪がくるり、と踊った。
□□□□□□□□□□□□□
向島まきるは僕のクラスメート兼、幼なじみ兼、互いの両親曰わく、もう結婚しちゃえば良いじゃん、だ。勿論互いにそんな気は無く、仲の良い友達である。下手したら同性を含めても一番仲が良いかもしれない。
まきるがくるっとこっちに降り向く。
「もーう、テンション低いなぁ。そんなんじゃ猫ちゃんを飼うの認めてあげないよ?ふふふ、そしてあわよくばあたしの部屋に……!」
「あー悪い悪い。とりあえず部屋に着いたら冷たい茶でも出すから、おじさんに告げ口するのは止めてくれ。」
そう、問題はここなのだ。
向島まきるの両親とウチの両親は俺達が産まれる前から仲が良かったそうだ。家も近かったし、遊びに行ったり家族ぐるみで出掛けたりもしていた。
ただ、高校生になる前の春、うちの父さんの海外赴任が決まった。いわゆる栄転ってやつだ。
色々あって僕は残り、両親は海外に行った。その時から、まきるの両親の持ち物であるこのアパートに住まわせて貰っている。
学校でポロッと口を滑らせたのが運の尽き。見せて会わせて触らせてと付いて来たのだ。
そう、問題はここ。
まきるは大家さんの娘である。
そして、かわいい動物が好きな癖に、絶望的なまでに動物の扱いが下手なのだ。
「いや~早く会いたいな、猫ちゃん!早くもふもふしたいなぁ。」
後100mで僕の家。昨日ニアと出会った場所。
……―絶望的に不安である。




