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僕と晃の極秘指令


 メールの着信音とバイブレーション。僕、杉村道隆は夢うつつの中、曖昧な意識で携帯を掴んだメールの内容を確認する。晃からだった。



“朝早くにすまない。今日、向島さんにあの話をしようと思う。手伝ってくれないか?“



 徐々に意識は覚醒していく。あの話。前回は色んな事があって結局言えなかった言葉。何のことはない、ただ単に―……



“分かった。っていうかどこに誘うか決めたのか?“



“ありがとう。ちゃんと決めている。とりあえず無難に遊園地にしようかと思う。“



……―晃はまきるをデートに誘いたい。それだけの話である。




□□□□□□□□□□□□□




 いつもより大分早い時間に学校に行く準備を終える。自転車の修理はテストが終わったら出すか、と思っているとニアが話しかけてきた。



「今日は早いな。何かあるのか?」


「ああ、ちょっとな。晃の手伝いをしなきゃならない。」


「あの変態か。今度は一体どんな変態プレイをご所望なんだ?」



 首周りを足で掻きながら言うニア。苦笑しながら僕は返す。



「今度はまともなやつだ。晃はまきるをデートに誘いたいんだと。」



 デート?、と黒曜石のような大きな瞳をさらに大きくさせて聞き返すニア。



「うーん。果てしなく似合わない響きだな。……まきるは大丈夫なのか?」


「そう言ってやるなよ。あいつはあれで結構純情なんだ。確かにアレな部分もあるけど…………男なら多少は仕方ないだろ。」


「ああ、道隆の巨乳メイド趣味くらい仕方ないな。」


「ちょ、おまっ!…………いや、まあそうだ。くそっ、お前に見られたのは完全に失敗だった。頼むから翔子さんとかに言うなよ?」


「分かってる分かってる。言わずに現物を見せるよ。」


「分かってないだろ!……あの人に見せたらどんな反応するか全く分からないから絶対見せるなよ。絶対だぞ。」


「お、前フリ?押すなよ押すなよ的な。」


「んなわけあるか。マセ猫が。」


 ニアと馬鹿話をしているとチャイムが鳴った。立ち上がって玄関に向かう。



「んじゃ、いってくる。留守番は頼んだぞ、ニア。」


「ん、いってらっしゃい。道隆、テスト頑張れよ。」



 手を振るニア。ドアを開ける。



「おはよー、道隆君。あ、ニアちゃんおはよー。朝から可愛いねっ。」



 いってきまーす、とニアに手を振る向島まきるが立っていた。朝から元気である。



「さあて、今日もテスト頑張りますか!ほらっ、道隆君行くよっ。」



 ほらほら、と僕の背中を押すまきる。




……―ミッション、スタートだ。

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