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僕とテスト2日目




 夢を、見ている。



 だって、君は僕の見たことの無いはずの表情で笑っているし、聞いたはずの無い声で僕に話しかける。見たことのある風景の中で君と僕が手を繋いで歩く。


 叶うはずの無い、夢。


 どうか覚めないで。






 暗転。




□□□□□□□□□□□□□




「……はあ、何て夢を見てるんだ、僕は。」



 眠りから覚めてそう呟く。ご都合主義というか何というか。良い夢だったのは確かだけど、同時にそうなるために努力しない自分を情けなく思う。


 くぁ、とあくびを一つ。まだいつも起きる時間より大分早い。部屋を見渡すとニアがクッションで寝ていた。昨日は制服のまま寝てしまったので皺になっている。汗も流したいし、風呂にでも入るか。


 この部屋の風呂場は洗面台と洗濯機のある小部屋を通って行ける。小部屋と玄関の短い廊下を繋ぐ引き戸を開ける。服を脱ぎ、洗濯籠に放り込む。今日はスペアの制服を着ていこう。ガシャ、と風呂場の擦りガラス風プラスチックのドアを開ける。おじさんの襲撃によくこれで耐えれたものだ。


 シャワーの蛇口を捻る。始めは冷水なので避けておく。暖かくなるのを待ってから一気に頭からかぶる。温水が体の表面を流れていくと、それと同時に汚れも流れていくのが解る気がする。昨日は寝てしまって勉強していない。上がったらするか、と思って体を洗い始めた。


 着替えを持って来るのを忘れた。仕方ないので腰にタオルを巻いて居間に出る。ニアが起きたらしい。転がったままこちらを向いて声をかけてきた。



「おはよう、道隆。……頼むからそのタオルは外さないでくれよ?」


「おはよう、ニア。心配しなくてもそこまで人としてアレな行為はしない。安心してくれ。」



 朝からそんな真似はしない。例え猫でもなんか嫌だ。そういえば、とニアは体制を直しながら言う。



「昨日は勉強もせずに寝たが大丈夫なのか?」


「ん、今からする。まだ時間はあるしな。もちろん手伝って貰うぞ?」



 やれやれ、と言いながらちゃぶ台に上がるニア。僕は着替えを取り、洗面所で着替えてから朝食を作る。バターを塗ったパンと勉強道具をちゃぶ台に広げる。現在6時ジャスト。やれるだけやっておこう。僕とニアは朝食を食べながら勉強を始めた。








「道隆、そろそろ時間じゃないのか?」


 時計を見ると7時を過ぎていた。そうだな、と答えて勉強道具を片付ける。学校へ行くための準備をする。準備を終えて玄関に向かうと、ニアが背中から話しかけてきた。



「道隆、程々に頑張れよ。いってらっしゃい。」


「了解。いってきます。」



 こうして僕のテスト2日目は幕を上げた。

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