第1話 転校生はまさかの推し
好きなタイプ:推し 好きな色:推しのメンカラ 好きな場所:推しのドラマの聖地
友達から「書いてくれ」と頼まれたプロフィール帳。この3つの欄だけでも、どれだけ生活に推しが関係しているかがよくわかった。
そんな私は高校2年生の山城琉玖。推しのために生きる限界オタクだ。
さすがに引かれるか…と書き直そうとしたが、嘘を書いてバレるまで貫き通すことより良いだろう。そのまま出した。
「ねぇー琉玖ー 。これもうあんたのプロフィールじゃなくて柊くんのプロフィールじゃーん!」
呆れたようにそう言う彼女は私の中学からの親友、如月凪桜。
柊くんとは私の推し、犬飼柊くん。Eternixという男性アイドルグループのメンバーである。
「ごめんごめん 。でもこれマジでだから。あんたならわかるだろー 」
と笑う。凪桜は私がとんでもねえオタクということを知っている、たった1人の友達なのだ。
(そういえば、今日は転校生が来るとか来ないとか…。)
そんなことを思い出していたら普通に朝礼が始まり、いつものように終わろうとしていた。しかし、今日はいつもと違った。
「じゃあここで転校生を紹介する」
(マジで来たんだ。どんなやつだろ。)
「入っていいぞー」
先生の合図で入ってきたその転校生は私が親の顔よりも見てきたあの人の顔だった。
「──え、柊…くん?」
綺麗な二重、高く通った鼻筋、広い肩幅、柊くんそっくりだった。
「熊本から来ました。海馬迅です。よろしくお願いします。」
まあ当たり前だが苗字は犬飼ではなかった柊くんは21歳だし兄弟は姉しかいないとファンブックに載っていた。だから弟の可能性は低いだろう。
(じゃあなんでこんなに似ているんだ?これがドッペルゲンガーというやつなのか?それとも──)
「琉玖!聞いてんの!?」
「あぁごめん。で、何?」
「見てよ、もうあんなに囲まれてる。」
ほぼ全員のクラスメイトに囲まれ質問攻めを食らっていた。
「うわー大変だな。」
「どうせあんたのことだから柊くんに似てるなーとか考えてたんでしょうけど、迅くん普通にイケメンだからもう一部の女子たちは狙ってるよ。」
「げ、バレてた。まあモテることはいい事ですからねぇー。」
「あんたのことなんか手に取るようにわかるわ。」
「流石っすね。」
今までの高校生活で1番騒がしい朝礼だった。
今日一日過ごしてわかったことがある。
迅くんめっちゃ頭良い。意味わかんないマジで。
挙手とかはほとんどしないけど問題を解くのがめっちゃ早い。
まあ自慢じゃないけど私はかなり馬鹿だから迅くんに勇気を出して話しかけた。
「迅くん。今いいかな?」
「あぁ、いいよ。どうしたの?」
「迅くんめっちゃ頭良いよね。だから勉強教えてもらえないかなーって。」
「全然いいよ。後でノート貸すね。役に立つかわかんないけど。」
「え!ノート貸してくれんの!?マジでありがとう!」
「じゃあ後で渡すねー。」
(迅くんが私にノートを…!?やっべぇ手洗っとかないと。)
帰り、普通に帰ろうとしたら後ろから呼び止められた。
「山城!」
後ろから走ってきたのは迅くんだった。
(おいおい、どういう事だよ。なんで迅くんが私のところに走って来てんのー!!!)




