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異世界でスポーツ科学の達人〜パフォーマンス向上と怪我予防の冒険者ギルド日記  作者: あさあき
速く走りたい!足が遅い魔法使い
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股関節の伸展位でのハムストリング固定力(1)

エマの走る姿を見たフジカルは、エマが走るときの接地足の膝の角度が気になった。


「おーけー、おーけー、ちょっと確認したいことがあるから、次はそれを確認するためのテストをしよう!」


課題を明確にするために、どのようなテストを選択するのかも職人としての腕の見せ所であるというのがフジカルの考えだ。テストを実行するためにも、そもそも、どういうテスト方法があるのかに関する知識も職人に求めらる技能のひとつだ。


エマが走る姿に対してフジカルが抱く違和感が、ふとももの裏側の筋群であるハムストリングと関係があるのではないかとフジカルは疑っていた。そこで選んだのがノルディックハムストリングというエキササイズを行ってみるという方法だ。ノルディックハムストリングは、比較的よく知られているエキササイズだが、今回はそれをテストとして使う。


「ノルディックハムストリングのエキササイズに挑戦だ!」


そう言うと、フジカルは厚さが数センチある四角く柔らかいクッションのようなものを取り出した。ノルディックハムストリングは、スネ全体を地面につけて膝立ちになるため、そのまま固い地面で行うと膝が痛い。


そのため、ノルディックハムストリングを固い地面の場所で行う際には、クッションがあった方が良い。


「ノルディックハムストリングは、上半身をまっすぐ立てた状態で膝立ちになり、足首周辺を押さえてもらいながら徐々に前へと倒れていくというエキササイズだ」

「地面に向かって、ゆっくりと倒れていけるか?まずは、どこまで出来るか試してみよう!」


無表情無口なエマは、四角いクッションの上に膝立ちになったエマは、フジカルに足首の少し上あたりを押さえられた状態で前にゆっくり倒れようとした。

しかし、まったくゆっくりにならず、そのまま素早く前に倒れ込んでしまった。


「おーけー、おーけー、課題は見えた!」


疑問に思ったエリカが聞いた。


「速く走りたいのに、何で膝立ちで倒れるようなことをするんですか?」


「これは、問題がありそうな場所をあぶり出すためのテストなんだよ」


身体に関する課題を探すために何かの分析を行うときにテストを使うことがあるが、エキササイズそのものがテストになることもある。今回は、ノルディックハムストリングというエキササイズを実行できるかどうかを確認することで、ハムストリングをどこまで使えているのかを調べたわけだ。


「速く走るために何をすべきかを分析するためのやりかたは色々あると思うけど、今回は、走る姿を見て、そこで感じた違和感から問題箇所を絞り混むために別のテストをしているんだ。」


課題を探すときに、まずはどこら辺に課題がありそうかを絞り込み、そのうえで確認のために細かいテストを行なっていくという手法をフジカルは良く使っていた。漠然と課題を探す場合は、単純に走るなどのフリーアプリケーションは便利だが、それだけだと限界があるのだ。


「ここからわかることは、彼女は、身体の背面にある筋群、ポステリア筋群(Posterior Chain)が弱い可能性が考えられる」


「走るという行為には、走るという行為を実現するためのテクニックと、それを実現するための筋力要素の側面があるけど、彼女の場合は筋力要素に課題がありそうだ」


「もちろん、その他にも問題があることも多いが、今日は、そこに着目しよう。」


どんどん早口になる。


「あるテクニックを実行しようとしたときに、そのテクニックを実現するうえで十分な筋力が要求される場合があって、筋力がないとできないテクニックもあるんだ」


筋肉が必ずしも全てを解決するわけではないが、筋肉がないとできないことはあるのだ。十分な筋力がないために、何とか誤魔化すような形で効率的ではなかったり、怪我のリスクが高い動きになってしまう、そんなこともあり得る。


「股関節の伸展位でのハムストリングの固定力が弱いと、速く走るという目標を実現するテクニックを実現できない場合があり、彼女の場合はそのパターンが疑われるわけだ」


筋肉は角度によって出力が変わってしまう。股関節伸展位、その逆は屈曲位である。屈曲位は、いわゆるモモ上げと言われているような膝を上げている状態のときになる。すなわち、股関節伸展位といえば、膝を持ち上げているような状態とは逆の状態である。その伸展位において、エマはハムストリングでの力発揮が弱いということだ。


「十分な筋力が備わっていないと、それが原因で怪我に繋がることもあるから、これは速く走るためであると同時に怪我の予防にもなるんだ!」


エマとエリカは、ぽかんとしている。

何を言っているのだか、さっぱりわからない。


エリカがツッコミを入れるのが恒例になりつつある。


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