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プロローグ:命を護った果ての危惧

 僕は以前も襲われた。得たはずのカネを奪われた。


 僕は以前も襲われた。一方的に蹂躪された。


 僕は以前も襲われた。絶望のなかで心が潰れた。



 周囲は咎めはしなかった。一方的な、暴力に。



 僕は以前も人を殺した。手に持つカネを、奪いつくした。


 僕は以前も人を殺した。一方的な蹂躪だった。


 僕は以前も人を殺した。空腹のなかで肉を食らった。



 人知れないなか、誰にも見られず。



 僕は恐怖に襲われた。輩は斃したはずだった。


 僕は恐怖に襲われた。我が身を護ったはずだった。


 僕は恐怖に襲われた。非のない話のはずだった。



 以前と違い、人前だった。正当防衛、そのはずだけど。



 僕は「事実」を知っていた。その気になればねじ曲げれると。


 僕は「事実」を知っていた。その気になれば揉み消せることを。


 僕は「事実」を知っていた。その気になれば捏造できると。



 この街のひとはどうするだろう、「事実」なんてそんなもの。



 この街にはもう居られぬだろう、この街の人を殺し

てしまった。


 もうこの街に居てはまずいだろう、俺はあくまで他所者だ。



 いい街だったが、仕方ない。現実なんてそんなもの。今さらとやかく言う気も失せる。

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