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二回目ですがはじめまして

「ごめんねお兄ちゃん、最後に一回だけあたしを守ってほしかったの」


どこからかそんな声が聞こえた気がした。


 気のせいだろうな、でなければ祟られている。



 二回目ですがはじめまして、この街のみなさん。

 いちどこの街を訪れたときは、見苦しいものをお見せしましたね、それは申し訳ない。


 でもある人が教えてくれたんだ、「他人の目は侮蔑するとは限らない」って。実際みんなそうだよね、他人のことなんて気にしてられない。


 考えてみれば僕自身そう。自分が生きるのに必死だもん。


 他にも教えてくれた、「人の口は嘲笑するとは限らない」って。

 こうしてこの街をなにも気にせず歩けているのも彼女のおかげさま、今夜は足を向けては寝れないね。


 さて、夜更けともなるとさすがに店は開いていない。まずは宿を探して久しぶりにベッドでぐっすり寝るとするか。


「いらっしゃい、部屋なら空いてるよ。先払いだけどいいかい?」


 気前のよさそうな笑みの店主が僕を迎える。以前の僕なら直視できたものではなかっただろう。僕は金貨を一枚支払った。


「兄ちゃん本当にいいのかい?」


「足らないですか?」


「いや、いいんだ。今夜はゆっくり休んでいきな」


 そういえばこの金貨は一枚でいくらなんだろう? 実家にいたころは適当だったからな。



 僕は店主がサービスで用意してくれた風呂に浸かり、寝間着に着替え部屋に入った。壁、屋根、寝床、そして鍵つきのドア。いったいいつぶりだろう。


 ドアに鍵をかけ、ごろりとベッドに横になる。僕の知るベッドの感触とはかけ離れて固いが、リネンのさらりとした肌触りは木の根を枕に地面に寝ていたころとは比べるまでもなく心地よい。僕はまたたく間に眠りについた。


「やっほ〜♪ お兄ちゃんお元気〜?」


 ……僕も人の子だな。食べて殺したことに対して、夢に出す程度には良心の呵責があるようだ。

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