島
星が導くままに、彼らは大海原を何日間も漂った。
「ダイモンを持った仲間がこの方向にいる・・・。
星の示す方向に舟をこぎだそう。」
「はあー。来る日も来る日も、水平線と雲ばっかり。
一体、私たちはどこに進んでるの?
それに、ここは、地図にすら載ってないじゃないの。」
「ええーーーー!?地図にすら載ってないの?
っていうことは、これ今遭難してるんじゃ・・・ひええ~。」
「大丈夫や。ダイモンと星の導きを信じよう。
宇宙の奏でるメロディーがこっちやって歌っとる。」
そうして、マスターは、安心しきってグーグーと寝てしまった。
しばらくすると、双眼鏡を覗いていたウミが叫んだ。
「ねえ!見て!水平線の向こう!
島じゃない?あれ?」
「おお!本当だ!」
「ひょっとしたら、まだ地図に載っていないし、誰も訪れたことのない新しい島じゃないの?」
「人はいるのかしら・・・。」
「人がいるかもしれへんな。
その場合はきっと島の人々を驚かせるやろう。
ばれないところに舟をつけて、遠くからどのようなものか観察してからがええんちゃう?
知らんけど。」
「知らんけどって・・・。」
「そうだ!この島を『プリン島』と名付けていい?」
というわけで、ウミの一存によってこの絶海の孤島は「プリン島」と呼ばれることとなった。
三人は、人のいない砂浜から上陸し、遠くから里のありそうな場所を探した。
「見て・・・あの崖の上・・・。」
一人の少女が海の向こうを見て歌っていた。
「〈うた〉だ・・・。
ほら・・・。」
「この〈うた〉を、ぼくたちは・・・知っている。」
「うん・・。」
三人は木の陰で、彼女の歌声にすっかり聞きほれてしまった。
歌い終わると、少女は踵を返して下って行った。
「後をつけてみよう。」
そこには、思ったよりも多くの人々がいくつも集落をつくっており、また独特の文明を形成していた。
それは、ソラやウミたちがもっていた文明の質とは全く違った種類のものであった。
三人は、ごくごく自然にその集落に気が付かずに溶け込むことが出来た。
ソラは首尾よく、物々交換で服を手に入れた。
食べ物も、この世のものとは思えないくらい甘く、いくらでも食べられる。
一日三時間ほど仕事をすれば、あとはのんびりとハンモックにぶら下がったり、真っ青なビーチをひたすら泳いでいるだけでよかった。
温泉も至る所に湧き出ている。
それで生活に困ることはなかった。
「はあ、楽園やなあ。」
「ちょっとまって。この島にダイモンをもっている子がいるんじゃないの?」
「そうだった。」