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道のともしび ~こころのトゲをいやす十のメロディー~  作者: ユウさん
〈こころ〉の秘密
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しっている

話は、マスター・エッグタルトと彼についてきた少年ソラの旅に戻る。


彼らは、いくつもの山々と川、そして荒野を抜けていった。


あの小さなメープル村を出発したときには小さなせせらぎだった小川は、今では泳いでも渡れないほどの幅になっていた。


彼らは、ティラミスと呼ばれる国までやってきた。


「すごーい!

船がひっきりなしに行き来している。

それに、橋と言う橋には装飾が施され、彫刻が飾られている。

建物と言う建物も、すべてが芸術作品としてつくられていながら、実用性も兼ね備えていますね。

そして、都市のつくりも、整然としていて見事な幾何学模様になっていますね。」

ソラは興奮気味に語った。


向こうには大きなお城が見える。


「この国にも〈ダイモン〉をもった子がおるな。」

マスターは言った。


「ええっ!そうなんですか!

やった!

どんな人だろう!?早く会ってみたいなあ。ワクワク。」


「この国の街並みだけでなく、人々も素晴らしいな!」

マスターは、とても嬉しそうに目を輝かせて言った。


「まるで小さな太陽がこの国を照らしとるみたいやな。

そして、ここに住む一人一人が、小さな星々のように輝いとる。」


「そうですね!

ぼくの住んでいた村も素敵なところでしたけれど、この大きな街もとても素晴らしい!」


「この街の星々はみな太陽を〈しって〉はるな。

そして、太陽はまた星々のことを〈しって〉おる。」


「しっている?」


「単に、表面的に情報を知っていると言うことだけやない。

両者は家族のように深く安心できる結びつきをもって、お互いのことをよくわかっとると言うことや。

つまり、以心伝心、ツーカーの仲やな。


だから、怒鳴ったり、脅したり、押し付ける必要はない。

命令することは、必要最低限以外はせえへん。

トップは人々を励まし、自分自身も率先してその模範を示していくんや。」


「そこまで高貴な生き方があるのですね。

そこまで謙虚で柔和な姿勢があるのですね・・・。」


ソラの心は波が打ち寄せるように震えた。


「人の〈こころ〉はここまで偉大になれるものや。」

マスターは城下の坂道をゆっくり歩き続けながら話を続けた。




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