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シャンディ・ガフがあらわれた。


気が付いたことがある。


そういえば、メイは・・・オレだけじゃない、そう、どこかシャンディにも少しだけだけれども似ている。

雰囲気や仕草は全く違うものの。


なぜ?


「囚人30601番の〈前の人生〉が〈認識〉できました。」

シャンディは、チーノにそう報告する。


「ふむ」


「150年前もハルをたぶらかして暗黒界に引きずり込もうとしていたカルマがあります。」


「そうか。

さすがだ。仕事が早い。

シャンディ、君は、〈霊媒〉や〈口寄せ〉や〈占い〉の分野においても優秀だったな。

すなわち、ザッハ・トルテ宇宙に存在する、肉体を持たぬ存在を己の身に宿し、語らせることや、

その人物の未来を正確に予測する能力・・・。

もっとも、最高にそれができるのは、無論、あの偉大なるザッハ・トルテ様だが。」



「ハル、あなたは今回の人生も、全く同じ瀬戸際に立たされているわよ。

どうする?

今回の人生も、まったく同じ過ちを繰り返して、人生を棒に振るわけ?


・・・あなたの気持ちは分からない訳でもない。

人間だから。

でもね、それは単にあなたの欲にしかすぎないの。

〈救済〉したくないは、お菓子が食べたいとか、勉強したくない、仕事に行きたくないというわがままと同じよ。


あなたの〈本当の心〉は何をすべきか知っているはず。

あなたの心の奥には、〈ザッハトルテの光〉が輝いているはずだから!思い出して!

自分を信じるのよ!

選択肢は一つしかないじゃない?

自分を信じて!


偉大な諸先輩たちにもこの誘惑はあった。

だけど、トルテ様を信じて、勇気を出して、大きな一歩を踏み出したの。


・・・切りなさい。

あの囚人30601番は。」


ガラスの中のメイが、シャンディをまじまじと見ている。

そして、何かを思い出そうとしているようだ。


「・・・ちょっと考えさせてもらうことはできませんか?」


「ダメだ。今すぐ決めろ。」

チーノが言う。

「決定を先延ばしする奴は永遠に決定などできはしない。

優柔不断は人生にとって一番の敵だ。

そうやって、決定をしないまま、ずるずると何もせずに、何も果たせないまま、その人生を終わる。


決めるのはいまだッッ!

今を逃せばチャンスはもう二度と永遠にめぐっては来ないぞ!

この一瞬に、君の永遠の生命か、永遠の苦しみかが決定する!」


ガラスの中のメイが、何かに気が付いたように、叫ぶ。


「さあ、もう時間だ。


もし、君自身の生命と彼女の生命をも救いたければ、一歩前にでて、ボタンを。

君自身滅びを望み、彼女をも滅びさせたければ、何もせずそこに居ればよい。

自動的に、〈救済〉されるのは君になるがね。」


オレのいるスペースだけ、四方八方から壁が立ちふさがり密閉された。


「な・・・なんだ?どういうことだ?」





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