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逮捕

「悲しいけれど・・・しかるべき処分を受けなければならないわね。」



「へえ、あいつの名前、メイっていうんだ。

名前なんてものがあるんだな。

トルテ国の住民権もない人間以下の虫けらに。」


ケンは、とても不思議そうな顔をして、笑った。

おそらく、この国の外に住む者たちは、アリや魚に似たような存在なのかもしれない。


「っていうかさ、お前、まさかそんなやつだったなんて知らなかったよ。」


「何が?」


「あのメスは正直に話してくれたよ。

お前が、動物的な情欲に任せて、人間として恥ずべき、みだらな行いをしたのだと。」


「は!?そんなこと・・・。」


「言い訳は通じないよ?

だって、おまえは、首のリングを外したり隠していたじゃないか。

市街でそれをやったら、文句なしで犯罪だよ。その場で撲殺されても仕方がない。」


「していない・・・そんなことは!」


「いや、お前の首につけられたリングからは、そういう波動が出ている。

隠れて、外したり隠したところで、その波動は全部、ザッハ・トルテ宇宙皇帝陛下にはお見通しなんだよ。」


「な・・・」


「お前は狂っているのか?

国民全員の迷惑を考えてくれよ。

ゴキブリやネズミに餌をやると、増えて全員に被害が及ぶだろう。

国の外からのけがれた生き物は、人間に似ているだけ、よりひどいことになっちまう。


それなのに、お前はよくあんなけがれた生き物と触れたりみだらなことまでできたものだ。


恥を知れ。

人間として。」


意の奥から熱いものがせりあげる。

自分の核が汚され、汚され、爆発するように感じ、まるで沸騰するように自分を抑えていた蓋が外れる。


「うあああああああああーーーーーーー!!」


その瞬間、殴っていた。


目の前の顔を。


一瞬驚いた顔をしていたが、次の瞬間には、兵士たちが集まってきて、オレの腕を後ろに組んで、そのまま地面に押し倒した。


叩きつけられた衝撃と、上から覆いかぶさられたショックで息が出来なくなる。



誰も・・・誰も、守ってはくれない。


いや、「悪いこと」をした、自業自得なのか?

ただ自分がおかしいのか?

自分が狂っているのか?

すべては、自分のせいなのだとでもいうのか?


オレは、ただ・・・ただ、あの子を助けようとしただけなのに。


それが、悪いことだというのか?



オレは目を覆われ、手を縄で結ばれ、牢に入れられた。





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