お金の儲け方
「本当に、個性的になればなるほど・・・本当に自分らしく生きることを通して、ほんとうのことに近づいていく・・・。
いや、ほんとうのことが、私を通して、自らを表現しようとしている・・・。」
「せや。
さあ、ウミ、戻りなはれ。〈世界〉に。
〈こころ〉はどこまでも無限や。
無限でありながらも、〈自分自身〉であろうとしている。
無限なものが、自分を表現し、自らを知りたいと思って君たちになったんや。
あの限りのある矛盾に満ちた〈世界〉という場所で、
君は他の誰にも変われない君を引き受けていかねばならんのだよ。
私は、いつも君たちと一緒や。
安心せい。」
気が付くと、ウミは〈世界〉に戻ってきていた。
「あれは夢・・・?
それとも、夢のように見えたものこそが永遠に変わらないほんとうのことで、
ほんとうのように見えるものこそ変わり続けるもので、夢に過ぎないの?」
そこには、ソラとレイとハルの三人も集まっていた。
「みんな!どうしてたの?
再会できてうれしい!」
四人は、それぞれ、握手と抱擁を交わし合った。
皆一様に口々に、
「自分は行った先でマスターに出逢い、個人的に宇宙の秘密を打ち明けられた。
そして、この場所に来るように言われたのだ。」
と熱く語った。
ソラはエクレアの町での出来事を語り始めた。
「ぼくは・・・
あの町で、人のこころの中には無限の力があり、それを引き出すコツさえつかめたら、人生に不可能はないことを学んだ。
途中で、マスターもやってきてくれ、いろいろとぼくにあったコーチをしてくれた。
そして、ぼくは早速富を集めることに成功したのだ。」
三人は、「おおっ」と目を丸くして、身を乗り出す。
「はじめ、ぼくがさせていただいたのは、バーの皿洗いだとか掃除だとかゴミ捨てだとかそんなところだった。
メープル村でもずっと汚れ仕事をやっていたから、さほど苦ではなかった。
だけど、やるのだったら世界一の雑用係になってやろうと、決心して仕事の方法にこだわりぬいたのだ。
マスターは、よくバーにやってきて、いつものようにあの幸せな話をして行かれるのだ。
こころの力についてよく知っているはずの、エクレアの町の人びとも、マスターの話にはいつも驚かされる。
お金は汚いものだとか、あまり口に出すべきべきことじゃないと思っている人は多いみたいだけれども、本当はそうじゃない。
お金を貯めることを人生の目的にすることは確かに身の破滅を招く。
だけど、いいかい。
必要なたくわえがあれば、大切な誰かを救うことが出来る。
たくわえがあれば、ここぞというチャンスが来た時に、冒険にだって出ることが出来る。
お金や富をいいものだと思うこと。
そして、それを善い目的のために使うことを考える。
そうすることで、はじめて無限の富がぼくたちの手元に流れ込んでくるんだ。
そして、お金とは人が運んできてくれるものだ。
人の望みを叶え、困っていることの手助けをしたり、問題を解決してあげたり、ハッピーにしてあげることのお礼としてお金をいただく。
人が、心の中で何を望んでいるか、何を必要としているのかという心の声に耳を済ませ、
それを満たしてあげることをまず考える。
自分が何をやりたいかということは後だ。
まず、相手が何を望んでいるのかということに120%合わせると言うことだね。
そして、目の前の人のことをどれほど喜ばせることが出来るかということのみを追求したんだ。
多くの人は、より多くの客を集めるために、外へ外へ出ていこうとする。
だけど、マスターは、まずは目の前にいる一人を感動させるように言ったのだ。
笑顔で、相手の話を真剣に聞いて、心が明るくなったり安心するような言葉をかける、
ただそれだけだ。」
「・・・それっぽっちでお金持ちになったら誰も苦労しないよ。」
「・・・ぼくもそう思っていた。
だけど、マスターの言うことだからということで、やってみたところ、まるで魔法のように売り上げが伸びて、店の雰囲気全体もどこか幸せで生き生きとしはじめてきたんだ。
「それは、みんなソラ、裏方の目立たないところで雑用をしているあなたからすべて始まったのね。」