明るいこころ
「そう。
人間が限界と言っているものは、それまでの経験や学習からこころに作り上げられた単なる思い込みにしか過ぎないのです。
壁を打ち破り、人類の進歩を支えてきたのは、この偉大にして無限な〈こころ〉の力を最後まで信じきった人びとなのです。
彼らは、周りの誰もが不可能だ、辞めておけと笑うなか、ただ一人だけ自分は成功するのだと信じていたのです。
いや、彼らは、すでに未来の自分の成功した姿がその細部に至るまでありありとはっきりと〈見えて〉いたのです。分かっていたのです。
彼らは、この〈こころ〉の次元の成功をまず、リアルな現実として認め、そして、それが物質の世界での現実のものとなるまでひたすら明るい心で行動し続けたのです。」
「ああ、確かにそうだ!
僕の知っている成功者や偉人と呼ばれる人々は、みなそういう姿勢で事に当たってきた。
自分を信じぬき、そして、不可能と言われたことを成し遂げて、世界を変えてき続けたのだ。
そう!僕も憧れていた・・・そうなりたいと!
それを実現したいと。
その力の秘密を僕は知りたかったのです。」
「ソラ、あなたなら絶対になれるでしょう。」
「はい!やったあ!」
ソラはその言葉に、体中の細胞が喜びでぞくぞくするのを感じた。
「そうやって、体中がぞくぞくしたと言うことは、〈こころ〉がそれは叶うというサインを送ってきているのですよ。」
「すべては、自分のこころが生み出しているのですね?
経験があります。
今まで、ふと心の中で思っていたことや、恐れていたことが現実に現れたことが。」
「そう。
こころの内で、何回も繰り返し思いめぐらされたことは、それが善きことであろうが、悪しきことであろうが、種をまいたことなので、いずれ現実になってゆくのです。
ですから、私たちは、何気なく心の中で思いめぐらせることや、何気なく口に出す口癖に注意しなければなりません。
愚痴や泣き言や不平不満や憎しみを言わず、愛や感謝や喜びや幸運の言葉を口ずさむことです。
そうですね・・・みなさんお気に入りの言葉を三つ決めておいて、それらを何かあるたびに繰り返し口に出してみればいいでしょう。
実際に、気持ちも変わりますし、それを繰り返すことによって、生活や人間関係、そして運命までも変わってくるはずです。
そのことばに〈こころの力〉が宿ります。
善きことばには〈善きダイモン〉の助力が、悪しきことばには〈悪しきダイモン〉の誘惑が。
初めに、〈ことば〉があったのです。
〈はじめのこころ〉である、〈永遠の君〉は〈ことば〉によって、一切をおつくりになったのです。」
「そういえば、マスターもどこかで同じようなことを言っていたなあ・・・。
ああ、そうだ。
宴会で、パスタをイメージしながら、やきとりと口に出したら・・・。」
ソラはそのことを思い出して、笑いだしてしまった。
その話を聞いたウミ、レイ、ハルもふきだした。
「マスター・・・あの方はほんとうに、ユーモアのセンスがあって、自由でとらわれなく、
本当に難しい神秘の世界の理論を面白おかしく説明してくれましたわ。
それだけでなく、それが本当だという証拠まで示してくれました。
真面目に難しく突き詰めて考えたり、知識として学ぶよりも、
リラックスした心で、緩んだ状態で大笑いしたほうが
〈深いこころ〉は、スーッと働いてくれるのです。」
女王は微笑みながらマスターのことを語った。
ハルは、それを聞いて驚いた。
一番深刻にまじめに考えこんでしまう者は自分だと自覚していた。
「深刻に考えない。
なるべくなるべく、軽く軽く、明るく明るく考えていくことなのですよ。
それが、問題を解決し、夢を叶えるために一番大切なことなのです。
人生において成功したものは、逆境な苦難の中においても、明るさとユーモアを忘れず、決してマイナスの言葉を口にしなかったのです。
いいですか。
イメージという種の蒔かれる土壌である〈深いこころ〉それ自体には善も悪もありません。
善い種をまこうが、毒の種をまこうが、無条件にそれを現実に発芽させようとするのです。」