村へ
お久しぶりでございます。
霧が晴れた頃、アレラは姿を消していた。滅びたのだろう。
宝箱を一瞥し、踵を返す。
この洞窟内では〈転移石〉が使えない結界がかかっている。
そのため、一度歩いて外に出る必要がある。
これも神どもが時間稼ぎのつもりで考えたことだろうが、大したことはない。
俺は両足に魔力を込めた。
次の瞬間、地面が砕けると同時に俺は跳躍し、頭から天井にぶつかっていた。
すると脆くも天井の方が砕け、俺の体は上昇してゆく。
2秒後、俺は遺跡の外に出ていた。
しかし、ここも結界圏内なので、もう少しだけ歩かねばならぬ。
すると、待っていたとばかりに白い影が100ほど俺に突進して来た。
灰の刃が振るわれ、全てが首を薙ぐ。
「どいつもこいつも、不意打ちがお好きなことだ」
折れたのは、剣のほうだった。
俺が常時纏う魔結界に阻まれ、俺には何のダメージも与えられない。
「貴様ら如きが千、いや万いたところで同じことだ」
俺は〈天下無双〉に〈覇気深滅〉を重ねがけし、駆けた。
手早く片付け終わると、〈透視水晶〉を使い、村の様子を覗く。
まだまだ結界は持ちそうだが、妙だった。
それを維持する魔力が、俺のものだけになっている。
リリアに何かあったようだ。これでは結界がもたないかもしれないな。
早めに戻った方が良さそうだ。
俺は〈転移石〉を使い、村の内部に転移した。
そのとき、神の魔力によって転移を妨害される。
「お前の死に場所はここだ、〈破魔の根源〉」
そこには、是正の軍勢。
更に、中心に桁違いの魔力を持つ神がいた。
是正の神シンレーラだ。
「先ほどの転移妨害は貴様の能力か」
有無を言わせず、手刀が振るわれる。
「是正するのだ。神に反するものは、全て。魔法道具さえ、逃れられぬ」
「貴様らの都合に、構ってはいられぬな」
「それが摂理だッッッッ!!!!」
俺は、それを受け止めていた。
「まあ、落ち着け。それとも、このまま力比べでもするか?」
俺は奴の手をひねった。すると奴が体ごと回転し、頭を地面にめり込ませる。
奴はすぐさま飛び上がり、俺の手を振りほどいた。
俺はにやりと笑い、言い放つ。
「全員でかかってこい。さもなくばここはーー」
俺は背中に手をやり、その剣の柄を握る。
俺の魔力に呼応し、それを終滅せんと、魔法文字が荒れくるい、根源を浸食する。
根源もまた、その魔のチカラを打ち滅ぼさんと光を放ち、それが繰り返される。
俺の魔力が際限なく上昇し、周囲の木々という木々が吹き飛び、それだけで傀儡の半分が滅ぶ。
「ーー貴様らの死に場所だ」
蹂躙、開始ーー