表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lucifer  作者: 宣芳まゆり
4/4

真相

 どれだけの作為をこらそうと、彼はルシフェルを失ってしまう。ルシフェルは必ず堕天する。今回は人間との恋ゆえにおちたが、理由は毎回さまざまだった。

「今回も駄目でしたねぇ」

 計画に協力した悪魔がつぶやく。彼は額に、大きな角を持っている。

「律子の誘惑は失敗しました。途中までは、うまくいっていたのですが」

 律子は悪魔の手を取らずに、ルシフェルの手を取った。いや、ルシフェルと律子が出会った時点で、計画は失敗だったのかもしれない。

 今回のルシフェルは、自我を持ったときから、地上に生きる人間に興味を持っていた。見習い期間が終われば、人間に関する仕事につきたいと言っていた。運命の恋人である律子を見い出し、恋に落ちるのは確実と思われた。

 だから彼はふたりが出会わないように、律子に細工をほどこした。律子から、人間らしい気配を取り除いたのだ。だが、それが裏目に出た。見習い天使のルシフェルは道に迷い、律子を天使とかんちがいして頼った。

 律子には、天使だの悪魔だのを信じない現実的な性格を与えていた。もしも天使を見ても、すぐに忘れるように。さらに悪魔の見張りまでつけていたのに、ほんの少しのすきをついてふたりは出会った。

 初めのルシフェルが彼から離れたとき、彼は心から悲しんだ。もっとも愛していた天使だったのに、ルシフェルは彼に反抗し、地獄へおちていった。

 その悲しみを埋めるために、彼は新しいルシフェルを何百、何千と作った。同じ過ちを繰り返さないように、さまざまな容姿、さまざまな性格を与えた。けれど、みんな離れていく。今回は悪魔にまで協力してもらったのに。

「いい加減、あきらめた方がいいと思いますよ」

 悪魔は笑い、やみに溶けて消える。初めのルシフェル、――サタンのもとへ帰るのだろう。彼は、ただひとり残された。次のルシフェルは、どんな瞳の色にすれば堕天しないのか。彼の苦悩は、永遠に終わらない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ