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部屋での出来事

作者: 神名代洸
掲載日:2017/11/06

つまらないことで意地を張っていつも苦手なものから逃げてきた。

そのツケを今払わされるなんて思いもしなかった。

食事もそう。

勉強も…。


でも今は目の前に教材や苦手な食事が所狭しと置いてある。

母からの躾だ。


そこから逃げるのは簡単だ。ただ、どこに逃げたら良いのかがわからないだけ。



過去に何度か逃げたこともあるが、逃げた先が恐ろしくて帰ってきたこともある。

何が恐ろしいって?

霊だよ、霊。

僕はその手の見えちゃう人のようで何度怖い目にあったことか…。

間借りさせてもらってた友人に話すと怖がられて逆に「出てけ!」てなるのが落ち。

さっきまでいた家もそう。


押入れに男の顔をはっきりと見たのだ。

突然のことだったので思わず叫んでしまったのだが、友人はそれに驚いたようだ。

なぜ叫んだかを言うと真っ青になってこう言った。

「お前、見えてるじゃん。そんなのと一緒にいたら俺まで見えてしまうかもしれんやんか。悪いけどでてってくれへん?あっ、今月の家賃ぶんは置いてってーな。あとはまた募集かけるわ。お前、出たからって変な話するなよ?見えて出たなんて言われたら誰も一緒に住んでくれへんからな。」

それだけ言うと僕の荷物を適当なカバンに詰め込み始めた。早速出てけって事か。


まぁ〜遅かれ早かれ僕が住んでたってことはバレるだろう。

後は霊が見える見えないで揉めるくらいか。

僕が住んでいた過去の部屋は全て霊が出た。

まるで僕を追っかけてるかのように引っ越しては現れ、引っ越しては現れてを繰り返している。もうウンザリだよ。


そこで今回はあえて新居を探した。中古物件ではなく。

中古は事故物件が紛れている事がたまにあるのだ。

だからちょっと生活は苦しいが、平和な日常を手にいれる為だ。やむおえまい。


駅から少し離れてはいるが、値段も妥当な所だろう。何ヶ所か周り、その都度ビデオカメラで撮影をした。

念のためだ。

新築だから大丈夫だと油断していたが、新築でも出る事を体験する。



そこは新築も新築、立ててまだ5年も経っていない。まだ貸したことはないと言う。

念の為いつものように部屋の隅の入り口が見渡せる場所にビデオカメラを設置して他の部屋へと移動する。その間ビデオカメラは回りっぱなしだ。

一通り案内され、最後にビデオカメラを回収して一旦は保留とさせてもらった。

一時的に間借りさせてもらってる新しい友人には霊が見えるとは話していない。

また揉めたくないから。


自宅へ戻り、友人がいない時を見計らってビデオカメラの電源を入れた。

巻き戻し再生をかける。

しばらくは何も無くこれでこのまま終わると思われた。

が、一瞬だが何かが映った気がした。

一旦気になるともう他の方に手がつかない。

何度も巻き戻しをかけ、確認する。

やはりおかしい…。

コマ送りで再生していった。

するとね、見えたんだよ。

霊が。

この物件、割と良心的で良かったのにな〜などと思いながら最後までチェックをかけた。


結局、ここは借りるのを諦めた。

出る場所に入るなんてできない。

そこで店で聞いて見た。

事故物件ではないですよね?と。

すると、店員は奥へ入っていき、すぐ戻って来た。そしてブルンブルンと首を振る。

違うと言うことらしい…。


それでも疑ってかかったよ。

何度も言い続けたら結局相手が折れた。




「ここだけの話ですよ。」




そう言って話し始めた。


その物件の持ち主は亡くなっていたのだ。

その前の持ち主もその前の持ち主も…。気味悪いよね。

で今の持ち主は一刻も早く借りて欲しいらしい。

じゃあ、出る霊は大家たち?

みんな年いった人たちばかりだったから。

今そう思えばそうかもしれない。

それで、もう借りる気は失せていたので断るとガッカリとした様子。

そうは言われても借りたくないんだからしょうがないじゃないか。僕は客なんだから。



その日の夜寝苦しくて目が覚めた僕は、足元がヒヤリとしているのに気が付いた。


まさか…ね。


しかし、そのまさかだった。

足元には何体かの霊が…。

何をどうして欲しいのかがわからない。

ただ黙って徐々に僕の方に近づいて来るだけ。

怖いよ。

正直。

でね?どうしたらいいのかわからず、同居している友人を見た。

友人はうなされていた。

「うーん、うーん。」と言っている。

僕はそばに近づいて揺すって起こそうとした。

何度目かで目を開けたが、白目だった。

「ヒ〜!?」

僕はそれでもゆすり続けた。起きるのを期待して。



そして起こすと霊の方を指差した。それだけで何かあったのかを察した友人はそちらを向く。そして大声で叫んだ。



「うわ〜。」



そして友人は部屋を飛び出していった。僕を置いて…。

友人はその後部屋には戻ってこなかった。

代わりにやって来たのは引越し業者。

どうやら頼まれて来たようだ。

僕は友人の物だけを選別し、業者は荷物を詰め込んで、そして…出ていった。


人一人分の荷物が減っただけで部屋はがらんとしてしまっていた。


僕は今もこの場所に住んでいる。

引越し資金がないから。


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