第2話 名前
第2話 名前
「あなたは誰?」
私は自分の部屋にいた見知らぬ男の子に対し、そう聞いた。
すると男の子は
「俺?俺は・・・」
なぜかそれを言った途端急に黙り込んでしまった。
あまりにずっと黙ったままなので、さすがにもう一回聞いた。
「あなたは誰?って聞いてるの、答えて」
すると男の子が重々しく口を開き
「わからない」
とだけ答えた。
「わからない?」
自分がわからないという事は記憶喪失なのだろうか。
「じゃあどうしてここにいるの?ここ、私の家なんだけど」
質問を変えてみた。
すると男の子は
「うーん、なんでだろう。たぶんなんとなくかな?」
「なんとなくで人の家上がるとか、何考えてるの?」
「上がったんじゃないよ!飛んできたんだよ!」
「飛ぶ?」
「そう!俺幽霊なんだよ!」
「幽霊?」
わけがわからない。幽霊などありえない話をよく自信満々に言うものだ。
「幽霊?そんなもの存在するわけないでしょ。この世は科学でなんでも証明できるの。そんな幽霊なんて科学で証明できないもの、あるはずないでしょ。もっと上手い嘘ついたらどう?」
「嘘じゃないよ!本当なんだ!確かに俺、自分のこと覚えてないけど、幽霊なのは確かなんだ!」
「ありえないって言ってるでしょ。とにかく、早く出てって」
早く追い出して夕食を食べよう。
「お、俺初めて俺のこと見える人に会ったから・・・そのー、この家に居させてくれない?」
・・・この子は突然何を言い出すのだろう。
「あなたねぇ、勝手に上がり込んどいてこんどは居させてくれって?無理に決まってるでしょ。初めてだかなんだか知らないけど、うちは一人でいっぱいいっぱいなの、出てって」
「そんなこと言わないでさぁ、そこをなんとか!」
「駄目」
「えぇー」
「だいたい、あなたみたいな不審者入れるわけないでしょ、出てって」
「あのさぁ・・・その「あなた」って呼ぶのやめてくれない?俺、名前ないから君に決めて欲しいなぁ〜?」
「んー、じゃあ犬で」
「えー!?せめて人間にしてよ!」
「じゃあ米」
「米!?それも無し!てかせめて人の名前っぽく・・・」
「じゃあ狸」
「今度は動物!?それも無しで!てかさっきからふざけてない!?」
「ふざけるも何も名前決めてくれって言ったのはあなたじゃない。なんだっていいでしょ不審者の名前なんて」
「だーかーらー!俺は幽霊だって!もう少しいい名前にしてよぉ」
「じゃあせんべいで」
「もう食べ物は無しにして!」
「注文多いわね」
「君が変なのばっかり言うからだよ!」
「仕方ないわね・・・」
「お、やっといい名前考えてくれた?」
「じゃあまぐろね」
「え」
「まぐろ、これでいいでしょ?」
「・・・なんかもう、何言っても無理な気がしてきた」
「じゃあまぐろで」
「・・・はい」
「名前決まったし、早く出てって」
「えー!?それはないよー!!!どんな名前かはともかく名前決めてくれたのにー!!!」
「名前決めたこととここに居させることは関係ないから」
「お願いだって!!!」
「駄目」
「えぇー、俺幽霊だから、食事とかも、いらないからさぁ〜。家事とかもやるし・・・だから、ね?」
「そうね、家事。一人暮らしで家事する時間ほとんどないから。食事なし、電気使わない、家事をするってことなら居てもいいわ。でも、追い出したくなったら追い出すから」
「ほんとに!?ありがとう!じゃあこれからよろしく!えっと・・・君の名前なんていうの?」
「・・・紫音」
「紫音か!いい名前だね!じゃあよろしくな!紫音!」
手を差し伸べてきた。握手をしようということか。
「・・・ええ、そうね、よろしく。でも私、人とは握手とかしないから」
「そっかぁ、じゃあ仕方ないな!とにかくよろしく!」
久しぶりに私の名前を呼んでくれる人ができた。嬉しい訳では無いが、まぁ悪い気はしなかった。
先ほどまぐろが差し伸べてきた手がわずかに透けていた気がしたが気にしないことにした。
幽霊などいるはずがないのだから。
「なぁ紫音?」
「何」
「なんで、俺の名前まぐろなんてのにしたんだ?」
「まだ何か言う気?」
「いや、そうじゃなくて、なんでだろうなーって」
「・・・今日の夕食、まぐろの刺身だから」
「・・・・・・」
続く
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
いやー、まぐろ好きですw
あ、もちろん魚の方ですよ?まぁ今回出てきたまぐろ君も好きですがw
とにもかくにも、やっと主役2人が出揃いました。
次どんな話になるか作者である私も楽しみです←まだ考えてないw
あと、Twitterもやっているのでよろしければフォローお願いします!
@miyabikanako
で出てきます!よろしくお願いします!
さぁさぁ、長いあとがきもこれぐらいにして、最後に・・・
発狂しますw
三┗(┓卍^o^)卍うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ