26/100
平成28年3月3日
散りかけている花弁は風に吹かれないように富士の山の陰に隠れた。
花弁はどんな小さな微風にさえも震えおののく。
私利私欲のために生まれる罵倒。
それが花弁にとっての最大の悪であった。
花弁は山に身を委ねようとした。
風から守られるために。
しかし花弁は散ってしまった。
花弁を散らせたのは風ではなかった。
山だった。
山が花弁を散らせたのである。
そうして山は富士の山ではなかった。
浅間山であった。
浅間山は怒りのために花弁を散らしてしまったのだ。
罵倒という風から身を守るために山に身を委ねた花弁は身を委ねた浅間山の怒りによって散ってしまったのである。
浅間山よ。
どうか富士の山になってくれないものか。




