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カボチャパンツと道具

 広くなった新しい小屋に入ってみると、部屋の中が倍に広くなっただけではなく、部屋の数が増えていた。小屋の入口から、ドアが二つ見えている。テーブルを真ん中にして、ドアは左右に一つずつ作られていた。

 月夜が両開きになった小屋の入口から荷車のままグランディを運び入れ、二つのうち左側のドアの前で止まった。

「ここがベッドルームだよ」

 月夜はドアを開いてからグランディを荷車から降ろして背負い、グランディの足を引きずりながら部屋の中へ運んでいった。

 しばらく待つと、ベッドルームから月夜だけ出てきた。

「グランディが本調子になるまでに、さらに探索しちゃおうご主人」

「ああ、分かった」

 俺は部屋の隅にあるパソコン机に向かう。

「今度は私一人で探索してくるよ」

「そうか」

 パソコン机のイスに座り、マウスを掴む。

「前回はマップの上を探索したから今度は下を探索しようか」

 前回と同じように操作して小屋の下のマスを選択し、月夜を探索メンバーに入れる。

「ん? イラストカードに新しい項目が出来ているな」

 イラストカードの下部に、横長の白い枠が出来ていた。

「あ、それは持ち物枠よ」

「持ち物枠?」

「ご主人が何か持っていくと良いって教えてくれたからさっそくシステムに組み込んだの。ここから道具を指定すれば探索に道具を持っていくことが出来るわ。もちろん他の行動の時にも指定が出来るようになってて、他でも道具を使うことが出来るの」

 俺が言ったことを本格的に取り入れてくれたのか……。

 嬉しくなるな。

「じゃあ、さっそく」

 俺は白い枠の中をクリックした。

「あ……」

 画面が切り替わり道具一覧が出てきたが、そこにあるのは水だけだった。

 そういえば、今の俺らには道具と言えるものが、ほとんどないのだった。

「道具に合わせてクリックすれば道具の説明が出るよ」

 月夜は全く気にしていないようだ。

 俺は無言で水をクリックする。

『ただの水。キノコの娘の体力を少しだけ回復する』

 説明にはそう書かれていた。

「道具倉庫は小屋を拡張した時に一緒に広げておいたよ。ベッドルームの隣が倉庫になっているの」

「そうか……」

 だだっ広い倉庫に水がポツン。

 想像したらなんだか悲しくなった。

「とりあえず水を持たしておくか」

 装備するという表示をクリックして、月夜に水を持たせる。

 そして、画面を道具一覧から戻し、探索を開始させた。

「水を取ってくるね」

 月夜はそう言って、部屋右側のドアに入っていく。 水は入口の近くに置いてあったのか、月夜はすぐに出てきた。

 ガチャリ。

 ガチャリ。

 ん?

 ドアの開閉音が二つ?

「水を持っ――」

「月夜ちゃーん。そこそこ身体も乾いたし、私も探索に――」

 二つの悲鳴が重なった。

「ああ……」

 右側のドアから出て左に向かった月夜と、左側のドアから出て右に向かおうとしてつまずいたグランディ。

 哀れ月夜は倒れてきたグランディの下敷きとなった。

「ご、ごめん。月夜ちゃん。あ、あれ? 立てない……」

「水を入れた樽が……。グシャって……」

 月夜は樽を手に抱えて持っていた。

 どうやら月夜とグランディの間で樽が潰れたようだ。

 グランディの下から這い出てきた月夜の胸元は、びちょ濡れになっていた。

 ただでさえ月夜の胸の布地は少ないのに、水に濡れたことで服が胸にぴったりと張り付き、胸の輪郭が今まで以上にはっきりと分かるようになっていた。

 俺はそれを見て、重大な事実に気付く。

 今なら服に隠されていた頂きの形を拝めるはずだ!

 だがパソコン机のイスに座っている状態だと、俺と月夜との間にはテーブルがあり若干距離がある。

 月夜の胸を観察するには遠すぎる。

 もっと近付いて見たい。

 ここはあれだ。

 助ける素振りで近付けば、じっくり見れるんじゃないか?

 それに、月夜が立つのに手を貸せば、胸への距離もよりいっそう縮まる。

 よし。

 これでいこう。

「だ、大丈夫か?」

 俺はイスから立ち上がり、月夜たちに近付いた。

「俺の手を掴めよ」

 月夜は俺に背を向けて、グランディを起こしているところだった。

 さあ、こちらを向け!

 そして、その濡れた胸をさらすのだ!

「あ、ご主人。大丈夫だよ。一人でベッドルームまで連れていけるから」

「いやいや。まずは月夜が立ってから――」

 俺は月夜の背中越しに、衝撃の光景を目の当たりにした。

 グランディの巨大な胸も濡れ、服がぴったり張り付いている。

 グランディの服は肩が大きく開いているものの、厚手の生地が邪魔をして、ふくよかな胸だということしか分からない。

 それが今!

 はっきりとした形で俺の目に飛び込んできている!

 しかし、月夜の背中が邪魔で、その全貌は隠されていた。

 くそう。

 あの柔らかでたわわなグランディの胸の全体シルエットが、すぐそこにあるというのに。

 しかも、この胸の大きさだ。

 月夜よりはっきりくっきりとした頂きを、見物出来るんじゃなかろうか。

 俺は溜まった唾をゴクリと飲み込んだ。

 二人の間に入り込めば、四つの頂きが同時に……。

 いやいやいやいやいや。

 俺は首を何度も横に振った。

 二兎追うものは一兎も得ず。

 どちらかを選び、確実にじっくりと見るべきだ。

 さて、どちらに……。

 露出の多い月夜の胸。

 巨乳のグランディ。

 ここはやはり、人間では絶対に味わうことの出来ない、グランディの巨乳を優先すべきだろう。

 よし。

 そうと決まれば即行動だ。

「グランディを立たせるのを手伝うよ」

 月夜は向かい合わせになってグランディの脇の下に腕を突っ込み、グランディを引っ張り上げていた。

 このままでは胸が隠れたままになってしまう。

 俺が月夜を手伝い、俺と月夜で肩を貸してグランディを立たせれば、俺の真横にはグランディの巨乳が来る。

 前のめりになって胸を見ても重いからと言い訳が出来、さらにグランディの胸を凝視していても、月夜とグランディから俺の視線が見えることはなく、じっくりと胸と頂きを楽しむことが出来るのだ。

 完璧な計画である。

「俺も肩を貸すから二人でグランディを連れていこう」

「いいよいいよ。一人で大丈夫」

 月夜はグランディをギュッと抱き締め、カニ歩きでベッドルームの方に進み始めた。

 月夜の胸とグランディの胸が押し合い、ぷよんぷよんと両者の胸が揺れ動く。

 おお!

 溢れ出しそうな胸の競演だ!

 この胸の間に挟まれてみたい!

 って、胸のがっぷりよつに見とれている場合ではない。

「一人じゃ大変だろう?」

 ここで断られるわけにはいかないのだ。

 俺は月夜に食い下がる。

「二人で運んだ方が良いに決まっている」

 そう決まっているんだ!

「うーん、でもご主人だと潰されそうだし……」

「そんなこと――」

 ない! と続けようとして、俺は月夜の次の言葉に口ごもる。

「さっきも潰されてたし」

「ぐっ」

 それは事実だ。

 俺はグランディを正面から支えようとして、見事に潰された。

「たぶん私一人の方が早いと思うから大丈夫。ご主人は手伝わなくていいよ」

「ご主人様の優しいお気持ちだけ貰います〜」

 グランディにも断られてしまった。

 さすがにこれ以上しつこくしたら怪しまれる。

 俺は悔しい思いをしながら月夜とグランディを見送った。

 せっかくのチャンスが……。

 くそう……。

 俺に月夜の半分でもいいから力があれば……。

 俺はガックリと項垂れた。

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