邪仙ふたたび
欲を捨てないと本当の仙人にはなれないらしい、僕には無理だ。
俺と美鈴は飲茶を楽しむことになった。しかし俺の服装は幻想郷でもそうだったが、ジーパンにTシャツというかなり浮いた格好をしている。周囲の視線をいちばん集めているのは俺であった。天心はうまいんだけど恥ずかしい・・・。他人のことは言えないな。
「そういえばまだ名前をうかがっていませんでしたね」
「そうだったな。俺は廿楽遊助、大陸じゃなくて日本に生まれだ」
「あの島国ですか。私は行ったことありません。私は紅美鈴です、一応妖怪です」
あ、妖怪っていうのをあっさり言っちゃってるよ。
「へぇ~、俺も実は妖怪なんだ。俺がただの人間だったらどうするつもりだったの?」
「そこまでは考えてませんでした」
天然だったのか、美鈴は。
「まあ、いいんだけどさ」
俺はお茶をすすりながら言った。すると後ろで、何か大きな気配が現れた。
「久しぶりね。最初ほんとにあなたなのかと思ったから様子見てたけど、全然気づかなかったわね」
「お前は・・」
「遊助さん、知り合いですか?」
美鈴は当然知らないだろう。俺も数百年ぶりである。
「隣の子は私のことは知らないわよね。私は霍青娥、仙人よ。と言っても最近は何にもしてなかったけどね」
青娥がまさかいるとは思わなかった。あの時別れてから、何をしてたのやら。
「青娥、お前何してたんだ」
「なにも。それより太子様はまだお目覚めにはならないの?」
「あれ時間がかかるんじゃないのか?」
「にしてもかかり過ぎよ。誰かに邪魔されてると考えた方がいいわ」
そういわれて、俺は思い出しそうになった。確か神霊廟があった場所は・・・なんだっけ?
「心当たりがありそうでないな」
「曖昧ね。でもずっと待ってるんでしょ?」
「当たり前だ」
そりゃそうだ。神子、布都、屠自古がいるのだから。あいつらはきっと仙人に生まれ変わってくれるであろうと信じて待つのみである。
「それが聞けて安心したわ。それなら太子様も喜ぶでしょうね。じゃあ、私はこれで」
といい青娥は、空のかなたに消えていった。周りの人が唖然として見つめていたが、それはどうでもよかった。
「あの、今のは・・」
美鈴が尋ねてきた。
「今のは俺の古い知り合いだよ。いい奴だよ、まあちょっと仙人らしくないけど」
「そうなんですか。とお茶もすっかり冷えてしまいました。おかわり貰いましょう」
「別にいいよ。俺はもう食べないし」
「遠慮しないで下さいよ」
「もう食えないし」
「なら仕方がないですね」
とか話しているうちに外ではすでに日が沈みかけていた。もうそろそろ帰らないとな。
おぜうさまが出せない




