命蓮寺に入ってみた
新章開始
命蓮寺は新居から歩いて20分ほどの山の中にあった。都の喧騒からは程遠い、緑に囲まれた静かな場所だ。聖が寺に入ると、弟子らしきものが来た。
「虎丸、お客様ですよ」
「聖様が男をお連れになるとは珍しいですね」
星がすでにいるのか。ということはあのネズミもいるのかな。
「ご主人様、聖様。お戻りになられたのですか」
「あら、ナズーリンも来ていたのですか」
二本の宝探しに使うらしい棒( ダウンジングロッドというらしい)を携えたナズーリンがいた。
「ご主人様この方は・・・」
「こちらの方は聖様がお連れになったのだ」
というか自己紹介はするべきなんだろうか。一応名前ぐらいは言っておこう。
「俺の名前は廿楽遊助。今日このあたりに越してきた妖怪だ」
「へぇ~、妖怪ですか。確かにかなり強い妖力をお持ちのように見えますね」
星が感心している。
「この方は私に妖力を分けてくれたのですよ。おもてなしをしなければ」
「そうだったのですか。それならば都でよい茶菓子がありましたのでそれを・・・あれ?」
「どうしたのですか、虎丸?」
星は自分の買ったものを探しているようだった。
「聖様、お菓子どこかにおいてきちゃったみたいです・・・」
「それならここに」
星が青ざめている横で、ナズーリンはそのお菓子らしきものを手に持っていた。
「ナズーリン!ありがとう」
「いえ、ご主人様が都で勝った後道に落としていたので、気になってすぐに回収しただけです」
「とにかく、遊助さん。中にお入りください。立ったままではなんですし」
「そうですね」
ということで中に入れてもらったが、寺の中は実に静かで、妖怪と聖以外はいないようだ。
「ここは、人間はいないんですか?」
「そうですね。たまに来てくれますが、基本的には助けた妖怪たちが来てくれます」
「なるほど」
「虎丸たちも昔はいろいろあったみたいで・・・」
ここはやはり妖怪を助けているようだ。弱い妖怪もいるからな、それでもいいと思う。
「それと、あなたをここに呼んだのはお礼をするためだけではないんです」
「?なんですか?」
「これからも、妖力を定期的にもらうことはできませんか?」
「なんだ。そんなことでしたらいつでもいいですよ」
実際ほとんど戦いもしないから力を持て余しているような感じは前々からしていた。誰かの役に立つのならそれがいいだろう。
「でも、その妖力で何をするんですか?」
しかしこれを聞いた途端、聖は黙ってしまった。
「いや、いいんです。話したくないのなら無理に話さなくても」
「すいません」
と、ここで外の様子を見る。もう正午くらいだ。そういえば今日から来るとか言っていたけど、結局最初は誰なんだろうか。
「すみません、お菓子いただこうと思っていたのですが、この後予定があるので」
「残念ですね、また来てください」
いた時間としてはほとんどない。まだまだ聞きたいこともあるので、また来よう。
次の生きる目標をコミケに設定してみた。




