引越しをしてみた
数学怖い、理系科目全部怖い
先日の取り決めで俺は文の家を出ていくことになった。
「大丈夫よ。私が行ってあげるから寂しがらないでね」
「それ皆に言われてるんだよなぁ・・」
「私も、皆も、あなたが好きなのよ。一番は私だけどね」
「それも皆言ってたぞ」
「まあ、何でもいいから行ってらっしゃい」
ということで送り出された。しかし家はすぐに創れるとはいえ、場所がまだ決まっていなかった。竹林に近くてもいけないし、里に近いと人間に迷惑だし、どこに作っても問題になりそうである。
「どうしようかな・・・」
一人で呟きながら里に今いるが、ほんとにどうしようか。地獄とかに行ったら浮気とか言われそうだしな。
「・・・そうだ!外に作ろう」
外の世界なら問題ないだろう。スキマを常時出しておけばいいし、簡単だ。
「そうと決まれば早速行こう」
スキマを開いて外に出ると、そこはかつて輝夜と住んでいた屋敷の後だった。こっちではもう100年くらいたっているようで、家は影も形もなくなってしまっている。
「時間が経つのって早いもんだなぁ。とりあえずここに家を建ててみるか」
と俺は目立たないようにこの時代っぽいいたって普通な家を建ててみた。実際それは表向きだけで、地下がめちゃくちゃ広かったりするのだが。
「ふー、まあこんなもんだろ。取り敢えず入ろう」
と入ろうとしたとき、
「もし、そこの方」
と声をかけられた。
「ん?俺に用かな」
振り返るとそこにはグラデーションのかかった金髪の女性がいた。彼女は聖白蓮、ひじりんだろうか。
「初めまして。私命蓮寺という寺で住職をやっております聖白蓮と申します。失礼ですがいまのは・・」
やばい。見られた、でもひじりんなら半分妖怪みたいなもんだし理解してくれるだろう。
「今のは、俺の能力ですよ。俺は一応妖怪です。元神様でもありますね」
「そ、そうなんですか!」
聖はいいリアクションをしてくれた。
「では、折り入って頼みがあるのですが」
「?」
「その・・出会ったばかりで失礼かもしれませんが、妖力を分けていただけませんか!」
まだ自分の力が完全ではないのか。
「別にいいよ。ほい、じゃああげるよ」
俺は塊で妖力を聖に打ち出した。当たっても痛くはないはず。
「おおっ。ありがとうございます、見ず知らずの私に妖力をこんなにたくさん渡してしまって大丈夫なのですか?」
「いや、大丈夫です。それ全然少ないんで」
「そうですか。では今のお礼に寺へ寄っていきませんか?」
命蓮寺か。俺の知ってる妖怪とかいるのかな。
「わかりました。では行かせてもらいます」
「そうですか。寺でもお茶とお菓子くらいはお出ししますよ」
俺はひじりんの後に続いて行った。
やっと出せた