無意識のこいし
それぞれの作家さんの書いた東方の世界感がどれも魅力的
こいしの能力は確か、無意識を操る程度の能力だったような気がする。影が薄いということなんだろうか。
「さとり、お前の妹は普段部屋にいるのか?」
「それが私にもよくわからないんですよ」
「わからない?」
やっぱり無意識を使っているようだ。家族にもわからないというのはかなり強力だな。
「じゃあ、どうやって見つけるんだ?」
「見つけるわけではなく、こいしの方から出てきますので。妖怪と言えどお腹もすきますから」
向こうから出てきてもらわないとダメなのか。そもそも今この洋館の中にいるのかということさえ怪しい。
「つきました。ここがこいしの部屋です」
と俺に伝えてから扉をコンコンとノックし、
「こいしー、いますか?」
と呼びかけた。しかし返事はなかった。
「いつものことなんですよ。返してくれないのは」
「まあいいや。とにかく入ろう」
扉に鍵はかかっておらず普通に入れた。こいしはこの部屋にいるんだろうか。
「こいしー、出てきてください。あなたに合わせたい人がいるんです」
しかし誰も現れない。
「いないのか?」
「いや、そんなことはないと思いますが・・・」
とその瞬間目の前に人が現れた。
「お姉ちゃん、私はここだよ?」
これまた幼稚園児みたいなのが現れた。知っている、こいしだ。
「いたのですかこいし、ちゃんと返事をしてください」
「その前に、家族の私を認識できるようになってよ」
「・・・すみません」
俺も気づかなかった。一応周りの気の流れは感じ取っていたつもりなんだけどなぁ。
「お兄さんがお姉ちゃんが合わせたいって人?」
「俺か?俺は廿楽遊助、こいし、お前に会いに来た」
こいしは俺をしばらくじろじろと眺めた後、ふーんと言って、
「でも、私には気付けなかったんでしょ?何の意味があるの」
「俺には分からない。さとり、なんでだ?」
さとりがこいしに対しては何の役にも立たなそうな俺を持ってきた理由がわからなかった。
「話し相手くらいはいないとつまらなさそうだったからですよ」
さとりはそう返してきた。話し相手か、と暇だし別にいいか。
「まあいいぞ、でも何話すんだ?」
「こいしは私の書斎にある本とか読んでますから物語でも話してやってください。私は少し地底の管理をしてきますので」
さとりはそう言って出ていき、外にいつの間にか待機していたお燐と一緒にどこかに行ってしまった。
「どうする?」
「さあ。何でもいいから話してよ」
と言われたのでなんかもういつもの流れになっているような気もしないではないが、俺自身の話をすることにした。
「信じられないかもしれないが、俺は未来から来たんだ。で、もといた時代から今よりもっと昔へ天照によって送られたんだ」
とそこまで話したところで、こいしがタタッと部屋を走って出て行った。話が気に入らなかったのだろうか。と思っていると、こいしがハードカバーの本を一冊抱えて戻ってきた。なんでこの時代にこんな本があるんだ。
「あなた廿楽遊助よね?」
「そう、だけど?」
「やっぱり。あなたこの本の主人公よ」
と本を渡してきた。
「なんか無駄に分厚いな、これ」
と表紙を見てみると、「一般人から神にのし上がった男の半生 ~廿楽遊助~」と書かれていた。
「誰だよこんなのかいたやつは」
と本の背を見てみると、
著 ひなた☆
と書いてあった。
「お前かぁ!」
「うわっ、なによ。びっくりさせないでね」
「これが落ち着いてられるかぁ!」
というと、こいしは俺から本を取った。
「えーとね、廿楽遊助は数多の女を野獣のごとく貪り食ってきた、男である。具体的には・・・」
「それは言わないでくれ!」
とこいしにいじめられることになってしまった。
この賞がグダグダになりつつあるのでそろそろ終わらせて先に進めよう




