里に下りてみる
期末が近付いてきた・・・
「遊助、あの幽香を取材したときの記事500部売れたわよ!」
「おお、そりゃすごいな」
幻想郷には里が一つしかない。そのうち増えていくのだろうが、今はまだそこしかない。人や妖怪も含めて500部は幻想郷ではすごい。
「やっぱりみんなあの花畑が気になってたみたいね」
「そうなのか」
幻想郷は人と妖怪が向こうよりは共存できているが、それでも何でもかんでもというわけではない。妖怪の山に近いあの丘は、やはり近寄りがたいのだろう。
「それで今日はどこに取材に行くんだ?」
この天狗も毎日新聞のネタを探して記事にしてくるのだから、なかなか有能である。とはいってもたまに、嘘っぽいのを書いてきてしまうのだが。
「間違ってもウソは書くなよ」
「私は幻想郷のブン屋よ。記者は嘘は書かないわ」
「ならいいんだけどな。で、どこ行くんだ?」
「今日は寺子屋に行くわ」
「寺子屋?」
「そう、何でも獣人が授業をしているらしいから、面白いなと思って」
「じゃあ、俺も行くわ」
俺も仕度をして、文と一緒に行くことにした。
「さあ、飛ぶわよ」
「いや、結構です」
「まだ高所恐怖症治ってなかったの?」
いまだに高いところは怖い。落ちても死ぬことはないけど、落ちる時の風を着る感じがとにかく怖い。
「そういうわけだから、スキマ使うわ」
「ヘタレねぇ、なおしなさいよ」
「あとでな」
「もぅ」
情けないな、と思いながら俺はスキマを開いた。
里にまたしてもやってきた。
「で、寺子屋ってのはどこだ?」
「たしかこの通りを曲がると、、、あった!」
普通に目立つ場所にあった。
「あったじゃん」
「あ、ほんとだ。ごめんくださーい」
と文は躊躇なく玄関から主を呼んだ。
「そういえば、アポは取ってあるのか?」
「ないわよ。突撃取材のほうが、本当のものが見えるじゃない」
確かにそうかもしれないが、失礼だろ。とか思っていると、戸がガラっと開いた。
「今授業中だから、あとにしてくれないk「幻想郷の伝統ブン屋です!」帰れ」
現れたのは、大方の予想はついていたが、やはり上白沢慧音だった。
「今授業中なんだ。それに約束もなしに急に来られても困る」
「そこを何とか」
「ダメだ」
慧音に譲歩する気はないようだ。
「おい文、邪魔しちゃやっぱり失礼だろ。ちゃんと約束して、日にちを決めてからでないと」
「あややや、残念だわ。遊助に言われたら帰るしかないわね」
俺らが撤収しようと荷物をまとめていたとき、奥からどたどたと走ってくる音がした。
「けいねせんせー!どうしたの?」
「あっ、こら。今お客さんが来てるんだ。お前たちは奥で自習をしてるんだ」
来たのは男の子だった。というか、最近見たような気がする。男の子は俺を見てから、指をさして、
「この前の団子のお兄ちゃんだ!」
と言ってきた。
「あっ、やっぱりお前か!」
「おい、これはどういうことだ?」
慧音が男の子に事情を聴いた。
「そこのお兄ちゃんが、お団子くれたんです、けいねせんせい」
「なんてことだ、人にものをせがむなんて」
といって、男の子の頭をつかむと、ヘッドバットをやった。痛そう。
「すまない。こいつのわびとして取材はやっぱり許可する」
「やるじゃん、遊助」
なぜか取材許可が下りてしまった。もうわけがわからない。
この章は長くなりそう。