銀髪の薬師と月兎
鎌倉疲れた~
半年がたった。使者は次の満月の時に来るらしく、それを知った親衛隊の貴族や、その配下の兵が家の周りを固めていた。普通なら突破することはできない、普通なら。まあ親衛隊のみんなには悪いが、輝夜は幻想郷に行くからな。死なないように寝かせよう。
その満月も今夜に迫っていた。しかし輝夜は緊張感のかけらもなく、今日もゲーム三昧だった。
「おい、輝夜。今夜だぞ、今夜。永琳が来るぞ」
「わかってるわよ。まあ何があっても失敗することはないし、あなたも気楽に構えなさいよ」
「あのなぁ・・・」
今夜とは言っているが、すでに月は登っている。いつ来てもおかしくないだろうに。と、その時、親衛隊の一人が、
「そ、空を!」
と言った。みんなが一斉に上を見上げる、そこにはいつにもましてきれいな月と、それに覆いかぶさるような大きさの船が来ていた。
「みんな来たぞー!親衛隊の力を見せてやれ」
といい、普段弓を引かないであろう貴族までもが、矢をつがえ船を射ようとしていた。ほんとに感心してしまう。しかし、低く見積もっても上空1000mの場所にある船を射抜くことは不可能で、一本も当てられなかった。しばらくすると、船がだんだんと降下してきた。100mくらいまで来たころには、みな矢を当て距離になっていた。しかし、一つも刺さらず跳ね返されてしまった。
「嘘だ。これではかぐや姫を守れん!」
「だがこれだけの矢を常に射ておれば、敵も出ては来られん。持ちこたえるんじゃ!」
しかしそんな努力も意味はなく、船からピンク色のガスが噴射されたかと思うと、俺、輝夜、妹紅を除きみんな寝てしまった。
「急に力が・・きゅう」
と貴族は力尽きてしまった。すると船から
「さあ輝夜様。月に帰る時でございます」
と声が聞こえた。永琳ではない。輝夜はその声にこう答えた。
「私は帰らないわよ。月はつまらないもの」
「わがままをおっしゃらないでください。月にかえrぐふうっ!」
とうめき声が聞こえ声の主は沈黙した。そしてそのあと船がさらに降下してきて、地面に着陸してから、ドアが空き、俺に見覚えのある、忘れられない女性がそこにいた。
「永琳!」
「遊助!」
俺と永琳は互いに駆け寄り、抱きしめあった。久しぶりのぬくもりだ。何億年ぶりか、でも忘れられなかったぬくもりだ。
「会いたかったよ・・・」
「私もよ、遊助。あの時は死んだと思っていたけど、こうしてまた会えるなんて・・・」
「あの、私たちの前でイチャイチャしないでくれるかしら?」
輝夜がいうも、永琳は離れようとしない。
「いいじゃないですか。姫様はずっと遊助とイチャイチャしてたんでしょ?」
「だからって私の前でいちゃつくな~」
というこの初めての組み合わせのほのぼのした空気の中、船の中からもう一人降りてきた。
「師匠ーー、船はいつ出発するんですか?」
とウサ耳のブレザーを着た女の子が出てきた。鈴仙か。
「あら、何言ってるの鈴仙。月には帰らないわよ」
「えーー!何言ってるんですか師匠。帰らないと反逆罪になるんじゃ・・・」
「知ってるわよ。でも帰らないわ」
「そ、そんなぁ~」
と嘆く鈴仙を無視して、
「さあ、遊助、姫様、それとあと一人。移動するんでしょ。遊助が確保してくれたところに」
「ああ、そうだな。すぐに行かないと」
と俺が大きめの隙間を開けようとすると、
「ちょっと待つウサー」
と兎がもう一匹増えた。
「なんだてゐか。どうした?」
「私たちもそれに入れてってよ」
「私たち?」
急にあらわれたてゐの後ろには、百はいるであろう兎がいた。
「マジか!こんな数の兎連れてくのか。まあ、努力してみるよ」
と俺は、この数が入れるスキマを作る準備をし始めた。
5分ほどで、スキマは開けた。
「ふーーっ。疲れたぞ」
「遊助いろんなことができるようになってるのね。便利そうね」
「そうだな。いつの間にか神にもなってた」
「さすが私の旦那ね」
「まあいいや。できたからみんな入って入って」
俺が皆を隙間に押し込むと、最後に入り、スキマを閉じた。
5大老は全員だす




