移住先はもう決まっている
補修なんてこの世からなくなっちゃえばいいのになぁ。
いまおれは輝夜の機嫌を直すために、一緒にゲームをしている。月のサーバーとつなげており、俺と輝夜以外は、おそらくみな月の住人だ。俺と輝夜が別々のパソコンで一緒にログインすると、とたんに人が群がってきた。チャットで伝えてくる内容は、
「kaguyaさん、ぜひ僕らとパーティーを組んでください!」
「あなたと一緒に冒険がしたいです」
などとパーティーの誘いばかりだった。輝夜が、えへんと胸を張り
「すごいでしょ。私、こっちじゃ誰もが知る有名プレイヤーなのよ」
と言った。しかし、あまりゲームにドハまりしない俺は輝夜が少し気持ち悪く見えた。
「うわぁ、そんなん自慢するとか、ほかに何もないのかよ。お前かわいいじゃん」
というと輝夜は耳まで赤くなって、
「ば、ばか!そんな言葉ぐらいじゃ私は落とせないんだからね!」
と大声で言ってきた。別にそんなつもりで行ったんじゃないんだけどなぁ。
「ま、まあいいわ。そんなことよりダンジョンはいりましょう。今日はあなたとだけよ」
「わかったよ」
ダンジョンを進めながら俺は今後について話すことにした。
「輝夜、お前逃げた後のあてはあるのか?」
「さあ、わからないわ。この星にいたらもう逃げれないでしょうし」
とここで俺は、何か一つ大事なことを忘れているような気がした。そもそもここには何をしに来たんだっけ?、、、そうだ!幻想郷に人を呼び込むためじゃないか。
「ああ、俺今思い出したんだけど俺の知り合いがこことは違うところに空間を作っているんだ。そこに来ないか?」
「あら、面白そうね。まあ、ゲームができる環境があれば、ほかに何もいらないわ」
と即答してきた。やっぱりネトゲ中だ、こいつ。引きこもりとかは本当にやめてほしい。
「まあ、いいや。永琳が来たら納得してもらうよ。俺の能力ですぐ行けるし」
「あら、そう。期待してるわ。どんなところか」
輝夜はフフッと笑うとまた画面に視線をもどした。俺も画面に目をやると、ほかのプレイヤーとの対戦になっていた。
「遊助、そこよ!そこ攻撃して」
「あいよ」
「あなたは3人、私は8人倒すわ」
「お前流石にそれは、ってもう終わってるし」
こんな会話をしながら朝まで起きていた。
「ふあぁ~~、楽しかったわ~~、それじゃ私寝るわね」
太陽が昇り、鳥がチュンチュンと鳴き始めたころ輝夜は一言そう言い、その場に倒れ伏した。俺もかなり眠い。
「やっぱ、眠気を覚ますにはコーラだよな。そういえばあの永琳の作ったコーラ、色おかしいけど飲んでみるか」
床に置いてあったボトルを開けると、プシュッといういつもの音が聞こえた。よかった、炭酸はあるみたいだ。しかしこの色、緑色って、なんだ?コーラって黒いよな?まあ、もしかしたら面白いフレーバーを開発したのかもしれない。意を決して一口飲んだ瞬間、俺も眠りについた。
永夜抄、あと何話つづけよう