月からの贈り物
思えば他の人の小説気に入ってもブックマークとかお気に入り登録とかしてなかったな。
輝夜の家にまた住人が一人増えた。仲良くしろとは言っているのだが、妹紅は全く輝夜と仲良くなろうとしない。しかも殺気を放っているから、一緒に飯を食べてる時も気まずい。輝夜は殺されても死なないので余裕を見せているが、妹紅は今にもとびかかっていきそうな感じだ。しかし風呂に入るときは別のようで、俺とはいるより輝夜とはいる方がいいらしい。まあ、当たり前か。別に襲うつもりはないんだけどなぁ。
妹紅もこの家に来て半年ほどたったある日、リフォームされてインターホンが付いた輝夜宅に来客があった。モニターはつけていなかったので、誰なのかもわからぬまま玄関に行った。
「はい、どちら様ですか~、ってあれ?お前は・・・」
と戸を開けてきた人の顔を見てみると、月に行った俺の部下の一人だった。
「お久しぶりです!何億年ぶりですかね」
「いやぁ、また会うとは、月から急にきて何の用だ?」
「それが、ここにお住いの蓬莱山輝夜の罪が半年後に許されて、月に帰れるということなんですよ。それで先にこれを渡しておけ、って永琳さんから言われまして」
と彼はごそごそと持っていたバッグから、金属製の容器とボトルに入った液体を渡された。
「なんだこれ?」
「こっちの容器に入ってるのはよくわかりません。でもこのボトルのはコーラなんだそうです。コーラって緑色でしたっけ?」
これがコーラか?なんか緑色だし、炭酸なさそうだし、永琳の前で俺こんなの飲んだことあったかな?
「わかったよ、輝夜に渡しておく。永琳は半年後に来るのか?」
「来ますよ。今回の責任者は永琳さんですから」
屠そこで彼は俺にも一歩近寄り、耳元まで来た。
「な、なんだよ?」
「この話は輝夜様以外には話さないでほしいのですが、永琳さんは月に帰る気はないようです。ですから宇宙船が来たときに、僕と永琳さん以外は全員戦闘不能にしちゃってください」
「お、おう解った」
つまり謀反みたいなもんか。永琳とまた会えるのはうれしいが、豊姫と依姫を裏切ることになるんだよなぁ。取り敢えず輝夜に事情を説明するか。
「それで永琳が来るんだけど、月じゃなく別の場所にお前と逃げるんだと」
「あらそう。まあ月に帰りたくない私としてはそっちの方がいいわね」
輝夜がそういうなら、別に俺は逆らったりはしない。豊姫たちにはまたあとで謝りに行こう。
「あ、あとこれよくわかんないもん渡された」
と先ほどの金属製の容器を輝夜の前に置く。輝夜はそれを開けた。
「こ・・これは・・」
「なんだそれ?」
「これは蓬莱の薬。前言ってた不老不死の薬ね。こんなものよこすなんて、私にはいらないし、ほかの人に渡すわけにもいかないし」
という話をしていると妹紅が来た。
「それが不老不死の薬か?」
輝夜が、
「そうよ」
と穏やかに答えた。
「ならそれを私にくれ」
妹紅が急に切り出した。
「あなた何を言ってるの!?これを飲んだら、あなたは死ねなくなるのよ?」
「別にかまわない。輝夜を殺さずに死ぬのは嫌だ」
と輝夜の言葉に妹紅は切り返した。家にいるからってこいつは輝夜への憎しみが消えたわけじゃないのか。輝夜は案外あっさりとひいた。
「そう。なら仕方ないわね、飲んでから後悔したりしないでね」
と言って、薬を妹紅に渡した。妹紅うぁうけとってすぐに飲み始めた。
「なんだこれ?変な味が・・うぐっ!」
「どうした妹紅?」
「なんだこれ?呼吸が・・・がああっっ!」
妹紅がのたうち回っているのを輝夜は冷静に見ている。
「おい、輝夜。このままじゃ妹紅が、」
「大丈夫よ。薬が効いてる証拠だから」
と話していると妹紅に変化が現れた。髪が黒から白く色が落ちていき、体から炎が出てきた。
「まあ!これは私にはなかった現象ね」
そして2分もすると妹紅の炎が消え、白い髪に赤い瞳の別人になった妹紅がいた。
「お前、本当に妹紅か?」
思わず聞いてしまった。なぜって髪とか瞳だけじゃなくて背まで伸びているんだから、そりゃ疑ってしまう。
「一応わたしだ。遊助にも疑われるほど変わってるんだな、わたし」
傷つけてしまったようだ。なんか申し訳ない。
「いや、悪かった。まあお前ならそれでいいんだ」
「ありがとう、遊助」
輝夜は機嫌が悪そうだが、口にはしていない。あとでゲームの相手をしてやろう。
例大祭のことにしか頭にない。




