噂の月人
平安貴族の喋り方は適当です。当時の文法とかよくわからない。
幽々子は三途の川と幻想郷を結ぶ道の途中に空いている場所があるようだといってそこへ行った。何でも自由とはいっても、住む場所はある程度限定されているらしい。家を早く創ってあげたかったが、閻魔様のお説教で行けなかった。で、そのあと解放されて見に行くと、都のかつての家と同じものが建っていた。どうも紫が自分の隙間で全部移したようで、紫が庭で目を回していた。出合ってから思っていたほど時間も流れておらず、相変わらず子供だ。しかたがないだろう。妖忌さんもいる。きっと紫の隙間で一緒に来たのだろう。
「お久しぶりです、妖忌さん」
「いやあお久しぶりです、遊助さん。おかげさまでまたお嬢様にお仕えすることができます」
「お礼は紫に言ってやってください。自分は何もしてませんよ」
「ホッホッホッ、またご謙遜を」
と話していると、幽々子が来た。今の幽々子は妖忌さんと同じく、周りに半霊が漂っている。
「遊助、そういえば私をここに連れてこようとしたのは、ここの住民を増やすってことだったわよね?」
「ああ、そうだな。お前と妖忌さんと妖夢が来たが、それでもまだ足りない。だから外でもっと探してくるよ」
「なら、都で噂だったかぐや姫はどうかしら?」
「ふ~ん、面白そうだな。ちょっと見てくるわ」
正直かぐや姫が誰なのかはもうわかりきっている。なら、もしかしたら永琳に会えるかもしれない。
いつものようにスキマで人間界に行くと、都はとても華やかになっていた。通りにには人があふれ、商売をやっている人もいた。目的のかぐや姫がいる場所を聞いてみることにした。
「すみません、この都の近くにかぐや姫がいると聞いたのですが」
すると少しきれいな女の人は、
「お主のようなものが、かぐや姫のもとに行くとは、何を考えているのかわかりません。ですが、教えましょう。あの竹林の入り口あたりですよ」
「ありがとうございます」
竹林の入り口には確かに大きな屋敷があった。ここにかぐや姫がいるのか。
「ごめんくださーい」
俺が門の前で叫ぶと少しした後に、老人が一人出てきた。
「今輝夜様は求婚する男たちの話を聞いておる。お主もそれか?」
「求婚ではないけど、話を聞きに来た」
「・・・まあ良い。輝夜様は来る者は誰でも家に入れよとのことだからな」
玄関からかぐや姫のいるところへ通されると、そこではちょうど貴族たちがかぐや姫に結婚を申し込んでいる最中であった。
「姫よ、私はあなたのいうものを持ってまいりましたぞ」
そういって男が取り出したものは何かの皮だった。しかしかぐや姫はそれに火をつけ燃やしてしまった。
「私は火鼠の皮と言ったはずよね?燃えるってことは偽物ね。失格、次」
と今度は後ろに女の子を連れた男だった。
「見てくだされ、これが釈迦が托鉢に使った鉢でございますぞ」
と高そうな鉢を出してきた。しかしかぐや姫は、
「輝いていないわね。却下、次」
と冷淡に言った。貴族はすごすごと退散していった。そして俺だけとなった。
「お前は初めて見るな、名前はなに?」
「俺は廿楽遊助だ。別にお前に求婚したいわけじゃない」
「なら私に何の用?」
「お前月から来たんだろ」
「!?どうしてそれを」
「なんとなくだ。それとお前は八意永琳を知っているか?」
「えーりん、知ってるわ、あなたも月人なの?」
「いや違うな。俺はもっと昔、月人が地球にいたころの人間だ」
輝夜は
「爺、婆。下がって。私はこの男と話がしたい」
とおじいさんとおばあさんを下がらせた。
「あなたはもしかして永琳の旦那様?」
「そうだな。永琳は元気にしてるのか」
「元気よ。私を今度迎えに来るからその時に会えるでしょうね。だから、あなたここに住みなさいよ」
願ってもいなかった。
「ならそれでよろしく頼む」
こうして俺のかぐや姫のもとでの下働きが始まった。
主人公が出てこない回を書きたい。