あほの子と家なき青年
今日で中間試験が終わる。数学は死にましたよ
神子の家に一泊することにはなったが、まだ昼で、どこにも行く当てがない。都にどんなものがるのかなんて調べもせずに来ているので、今はやることもなく神子の家の居間みたいなところでごろごろしていた。神子にも聞いてみよう。
「神子~、ここら辺ってなんか見るもんないの?」
「今は特に何もないわね。でもそろそろ私の部下来るから、その子と話しましょうよ、3人で」
神子の部下っぽいやつで来そうな奴と言ったら、あれしかいないんじゃないか。と思った瞬間玄関の方で
「太子様ー!」
という大きな声が聞こえた。やっぱり彼女じゃないのか。
「あら、布都速かったわね。今日私を助けてくれた人とが今いるのよ」
「襲われたと聞いてやってきましたが太子様が無事で何よりです。で、そこのお主、神子様を助けたそうだが、名はなんと申す」
「俺か?俺は廿楽遊助だ。都の見物でやってきたんだが、たまたま神子を見つけて助けた、それだけだ」
「太子様を呼び捨てとは失礼な」
「いいのよ、布都。命の恩人なんだから」
そういえば二人ともまだ道教を習得してはいないのか?あれば使ってるだろうし。
「二人とも道教とかやってるって聞いたけど、本当にやってるの?」
すると二人は頭の上に?、の文字を浮かべた。道教のことはまだ知らないようだ。
「まあ、いいや。とにかく話すこととか特にないんだけど、布都、お前なんかあるか?」
「私を呼び捨てにするとはお主生意気じゃぞ!だが、まあいい、話すことはないが、私の自己紹介だけしておこう。私は物部布都、物部でわかるだろうが、私の家は偉いんじゃぞ、太子様のおうちはもっと偉いのだ。どうだ解ったか!、遊助!」
何言ってんだコイツ。偉いのは歴史で習ったけど、どうせつぶされるんだろ、蘇我氏に。
「まあ偉いのはわかった、神子が偉いのもわかった。そういえば俺も詳しく自己紹介してなかったな」
俺はそこから、遠くから来たとか、自分の能力を伝えた。妖怪とか髪については言わなかった。神様だとわかったら、こんな砕けた話し方してくれないだろうし、この時代はまだ人々が妖怪におびえていた時代だから、妖怪だというわけにもいかない。
ある程度話したりしているうちにすっかり夕暮れになっていた。
「じゃあ、そろそろ夕飯を準備させましょうか。布都、今日遊助泊っていくからあなたも止まっていきなさい」
「何をお考えなのですか太子様!いくらなんでも今日会ったばかりのものを泊めるなど」
「だからあなたをとまらせるのでしょう。逃げないように」
「?」
布都は理解ができなかったようだ。だが俺理解できない。
「俺は別に逃げないぞ」
「念のためよ」
夕飯は昼と違って魚がでてきた.二人とも一応酒は飲めるらしく、3人でだいぶ飲んでいた。神子と布都は寝てしまったが、俺は寝ていない。二人を布団まで移動させて、その後は何が起きるでもなく俺は寝た。
「じゃあまたね。気が向いたらいつでも家で雇ってあげるから」
「いいよ、別に」
朝になって俺はすぐ帰ろうと思った。なんせ皆に何も説明してないからだ。怒られるだろうなと思ったが、覚悟して帰ることにした。そして都を出て俺は瞬間移動で里へ帰った、はずであった。
「あれ、ここどこ?」
おかしい、建物がない。ここに確かに俺の家が。
「みんなは別の場所に行ったよ」
と声をかけてくる男がいた。
「お前は、、文次郎じゃないか」
久しぶりに見たやつは昔とそんなに変わっていなかった。ただ、文へのストーカーはもうやめたらしい。ほかにときめくやつがいたとかで、今は結婚している。
「久しぶりだな、でここにあった里だけど、なんか別のところに移ったぞ。理由はよくわからんが、俺は置いて行かれた」
かわいそうに、それは俺も同じか。でもこれだと俺は神子を頼らなきゃいけなくなるのか。どうしよう・・・
里が消えた理由が雑な気がしてきた