彼を探す
今回は文たちの視点で書いてみました。4人もいると会話難しい
ここは妖怪の里。今日も特に何が起こるわけでもなく平和だった。しかし4人の妖怪たちはある男の帰りを待っていた。
「しかし、遅いわねえ、遊助」
「ほんとに」
黒い翼の天狗に一本角の鬼が酒をぐいと飲みほして相槌を打った。2本角の少女のような体型の鬼も、犬耳の白狼天狗も同じであった。
「全くどこで油を売ってるんだか」
「帰ってくるときに、女でも連れてきたら、いやそれどころか返ってこないかもしれないな」
「そんなことないです。遊助さんは必ず帰ってきますよ!萃香さん」
二本角の鬼に白狼天狗が言い返した。
「しかしねえ、あれから一年だよ。あいつの力で一年は長すぎないか」
「そ、それはそうですが・・」
「もお、埒が明かないわ。誰かが、洩矢の国ってのに行って遊助見つけてくればいいのよ」
黒い翼の天狗がついに言った。皆、本当のところそれが一番手っ取り早いと思っていたので、それに賛成した。
「じゃあ、私が行くわね。みんなで人里に行くと目立つし、神が出てきても困るから」
文は飛び立って1時間と掛からずに洩矢の国に到着した。柵で囲まれたところにいる門番に遊助のことを聞くことにした。
「すいません」
「あっ、妖怪か。われらの国に何をしに来た!」
「いや、別に人間を襲って食おうってわけじゃなくて、人を探してるんですよ」
「何、人だと?どんな奴だ」
「はい、廿楽遊助っていう男なんですが、一年ぐらい前にここにきませんでしたか。確か天照、、なんとかっていう神様が一緒にいたと思うんですが」
「天照様と一緒にいた男?おお、そういえば確かにそんな奴がいたな。洩矢の国を倒すためにとか言って連れてきてたな」
「そうですか。ありがとうございます」
「用が済んだらさっさと帰れ。今回は大事にしないでやるから」
文は弱いのに上から目線な門番の態度ににむっと来た。神を呼ばれたりなんかしたりしたらそれこそ一大事だが、今回は退けなかった。
「用はまだ終わってませんよ。その男に会わせてもらいたいんです」
「そんなこと言われても、俺は知らないし妖怪をこの中に入れることはできないからな」
「そういわずにお願いしますよ」
「ダメなものはだめだ。俺のクビが飛ぶかもしれないじゃないか」
これは話が長くなりそうだなと思ったとき
「いやまて。話を聞こう」
「あーうー。まあ、いいんじゃないかなぁ」
と声が聞こえた。門番の後ろから2人組が出てきた。
「あなたたちは?」
「妖怪ごときに名を名乗るのは面倒だが、言っておこう。私は八坂神奈子、そして隣にいるのが」
「私は洩矢諏訪子だよ」
「というわけだ」
「そうですか。私は射命丸文と申しまして妖怪の山に住んでおります。今日は廿楽遊助という男を探しに来ました」
この二人のプレッシャーに私はおびえている。自分でもよくわからないが、妙に言葉遣いが丁寧だ。
「それで廿楽遊助は今どこに」
「今はおそらく高天原だろう。しかしお前はもう二度と奴には会えん」
「何でですか?」
「奴は神になった。だから高天原にいれるのだ。それに奴は天照様の眷属だ。自由には動けん」
「そんな!だったらすぐにいかないと」
「だからそれが無理なのだ。高天原には妖怪は自力では行けん。それに私たちがお前を行かせない」
「あーうー。気の毒だけど帰ってね。まあ、彼が地上に降りてくるかもしれないから、そん時に合えるように天照様に行っておくよ」
「くっ!わかりました。今日は帰らせていただきます」
文はくるりと背を向け空に飛び立っていった。彼女が見えなくなったところで、二人は口を開いた。
「しかし言わなくてよかったの神奈子。遊助の記憶が消されてるって」
「そんな酷なこと言えるか。それにそんなこと言えば天照様を狙うだろ」
「あーうー。それもそうだね」
二人はまた塀の中に入って行った。
台風で学校休みになれ~




