高天原に行く
台風でまたしても学校が休みになる可能性が。
あの頭痛の後気づいたら朝になっていた。なんか頭がすっきりした気がする。靄みたいなのが取れたような、そんな感じだ。なんで頭が痛くなったのかは思い出せないが、まあ忘れよう。そしてあの絶大な力の名前とかをまだ決めていなかったので、ひなたに相談してみた。
「この能力どんな名前にすればいいと思う?」
「ん~、私そういうの苦手だからパパに聞いてよ」
そうはいっても地上にはお父さんはいない。むしろ日向が地上で暮らしているのも異例なのだ。
「じゃあ、どこにいるんだよ」
「いつも高天原にいるんだけど、場所知らないよね。私も行くわ。普段暇だし」
「じゃあ、連れてってくれよ」
「いいけど、もうちょっと寝させてよ。午後からで」
そういえばまだ朝日が昇ってきたあたりか。普段何をしているのかは知らないが、きっと彼女なりに頑張っているんだろう。俺はその言葉に従って午後まで待つことにした。
「もう日がだいぶ上がったぞ。そろそろ行かないか」
「え~、まだ眠いんだけど。まあ、いいわ。仕度するからちょっと待って」
彼女は布団からはいずり出ながらそう言った。これがあの偉大な太陽の髪なのかと思ってしまう時が時々ある。
仕度ができたのはそれから、1,2時間たった後だった。
「遅いぞー、何やってんだ!」
「はいはい、急かさないで。今行くから」
ようやく出てきたと思ったら、かなりしっかりした、儀礼用の複とでもいうべきものを着こんでいた。
「なんだ、それ。今日かなり熱いけどそんなに着込んで大丈夫か?」
「大丈夫よ、問題ないわ」
どこかで聞いたやり取りのような気もするが、だがこの服装が一番神っぽいと思った。
「さあ、行きましょう。飛んでいくのは面倒だから、瞬間移動使いましょうか」
「そうだな。それで頼む」
もう飛ぶのは嫌なので、それにした。
「じゃあ、行くわよ。3、2、1、はい!」
掛け声とともに目の前が真っ白になり、気を失いかけた。しかしそこは何とか持ちこたえた。
「ついたわよ」
目の前に広がる部屋は、いつかどこかで見たような部屋だった。
「俺を連れ込んだ部屋はここだったのか」
「連れ込んだとか、言い方が悪いわね」
「事実だろ」
「さあ、行きましょうか」
すごく強引に話を変えられた。だが、行きたいといったのは俺なので、おとなしくついていった。
ひなたの自宅は、神様らしく荘厳ででかい。お父さんがほんとうにいるのかと思ったが、割とすぐ見つかった。
「お父様、お久しぶりです」
「おお、娘よ、よく来たね。今日はどんな話なんだい?」
「実は彼の能力についての相談で」
「ほお、まあ座って話そうじゃないか。
「ほおー、山を吹き飛ばしちゃったと。それはなかなか、全力じゃないんだろう?」
もちろんだ。そんなことに本気は出さない。
「ずいぶんと軽く打ったつもりなんですけどね」
「ふーむ、そりゃまた強力な力だね。まあ、制御する方法を考えてみるよ。でも自分でもコントロールしてみてくれ」
「了解です」
「遊助、今日はここに泊まっていかない?」
「別にかまわんぞ」
「よっしゃー、今日も宴会だー!」
結局のところイザナギお父さんが宴会したかっただけのようだった。
豚乙女さんも例大祭のステージに出るんですね




