お父さん現る!
例大祭参戦の準備始めないと
俺はかなりやばいやつと今話をしている。
「どうも、いつも娘がお世話になってるようだね、遊助君」
「は、はい。こちらこそいつもお世話になっております・・」
すごいいかついおじさんと俺は話をしている。そもそもどうしてこんなことになったのか。それは2時間ほど前にさかのぼる。
「ねえ、どうしても帰っちゃうの?」
「そうだな。助っ人も終わったし、文たちを安心させてやらないと」
「もお~!!私だってあなたの妻なのよ。それを一人にする気!?」
ひなたがプンプン怒っている。かわいいかわいい。
「まあ、また会いに来てやるから、とりあえず帰らせてくれよ」
「えっ、でも私もうお父さん呼んでるんだけど」
はっ?何をしてくれているんだ。誰だったか忘れたが、そんな神様とあってたら話がややこしくなる。娘に妖怪が手を出してたなんて知ったら、消されるかもしれないし。
「まあ、俺は急用ができたってことで。それを伝えといてくれよ、じゃあな!」
脱兎のごとく走り出した俺は正直もう勝ちだと思った。しかしそれに気を取られていたからか、目の前の男に気付かなかった。
どがっ
「痛ってーーー」
「すまんすまん。あんまりに君の足が速いもんだから」
そういって声をかけてきたのは、誰かと似ているようなおじさんだった。
「いや、こちらこそすまない。じゃあ、僕はこれから用事があるので失礼」
と言って再び駆け出そうとすると、
「お父さーん」
と呼ぶ声が聞こえた。知っている声を聴いた気がしたので後ろを振り返ると、ひなたが玄関から出てきて、さっきのおじさんに手を振っていた。
「おお、わが娘よ。しばらくだな。今日会わせたい妖怪というのは誰だ?」
「そこにいるあの人よ」
うわー、もう終わった。
「君か。さっきはぶつかって悪かったね。用事とか言わずに話そうじゃないか」
こうして今の状況になってしまったわけである。
「そういえば自己紹介がまだだったね。私は伊弉諾尊だ。いつも娘の天照がお世話になっているようだね」
「そ、そうですね。でも娘さんの方に助けられることも多いです、ははは・・」
めちゃくちゃやばい神様じゃん。神話とか知らない俺でも知ってるよ。やべーよ、殺されるよ。
「それで今日の要件なんだけど」
ああ、処刑だろ、どうせ。
「君が神になりたいのかい?ならなれるよ。その方が娘の夫にふさわしいと思うし」
おっとなんか話が思ってたのと違ったぞ?まあ、殺されないならその方がいいか。
「神なら簡単になれるよ。ただ信仰を集めるだけだし。それが面倒なら、娘か僕の下につけば神っぽくはなるよ。神の使いってことで」
「ああ、じゃあ面倒なんでそれでお願いします」
崇められるのは柄じゃないんだよな。楽な方がいいし。
「なんか、思ってたのと違うけどまあいいや、じゃあ娘の眷属ってことでよろしく。結婚も同時に認めるよ」
なんか、気軽だな。でもこれで夫婦か。何億年前が出会いとか、現世じゃ考えられないな。
「それに君は強いらしいからね。期待してるよ」
何を言ってるんだか。あんたの方が全然強いだろ。
「じゃあ、これから二人の結婚と洩矢の平定の祝いの宴会をやるぞっ!」
この神様、宴会好きなようでした。
「あーう、私負けた方なのに宴会に参加しちゃっていいのかな?」
「いいんじゃないか。お前も大和に加わったんだし」
諏訪子とはなしている俺。結婚もかねてという感じで始まったのだが、結局みんなでばか騒ぎしているだけだった。まあ、別に楽しけりゃそれでいいとは思うが。
「うははー!飲め飲めー」
イザナギさんは完全に酔っぱらってしまっている。俺も少し酔ってきた。ちょっと酔い覚ましに外の空気を吸いにいこうとすると、ひなたもついてきた。
「どうしたんだ?」
「いや、今日は楽しいなと思って。こんな日がずっと続くようにって」
「そういわれてもな、俺は一度帰らなきゃならんし」
「フフッ、そういうと思った。だから私が、そのことを忘れさせてあげるわ」
周りが霧に包まれた。
「おい、ひなた何をするん、、」
完全に不意を突かれたため、俺はすぐに気を失った。月明かりの中でひなたが、
「あなたを離さないわ」
と言っていたのが聞こえた。
少し病んでるような・・