決闘を見守る
幾何の授業眠かった、というか寝た
ひなたを起こしてから、俺はその決闘する場所へと移動した。洩矢の国と大和の拠点のちょうど真ん中にある平地だ。彼女は後で来るといっていたが、ちゃんと来るだろうか。また二度寝されると困るな・・
とか考えながら歩いていると、神奈子に会った。注連縄に御柱をもってすっかり準備できてるようだ。
「おはよう、神奈子」
「おはよう。私は必ず勝つんだ。そして、私の強さと価値を天照様に気付いてもらいたい」
素直な奴だが、なんかなあ。
「応援しているぞ、頑張れ」
取り敢えずそういっといた。大和には勝ってほしい。だが、洩矢の国も平和で滅ぼされる理由がない気がする。どちらを応援するべきなのか。
決闘の場所に移動すると、諏訪子はすでに来ていた。ひなたもいつの間にやら来ていた。別に寄り道をしていたわけではないんだがな。ひなたがずっとにこにこしていて、周りから変な目で見られている。こういう時ぐらいは控えてほしいものだ。
「ひなた、顔にやけてるから、元に戻せ」
「え~、何言ってんの。いつも通りじゃない」
口調も戻ってないような気がする。
「とにかくにやけるな。ピシッとしろ、ピシッと」
「はいはい」
少しましになったかな。今回は審判的な役割を俺がすることになっている。諏訪子と話すことができるのが俺しかいないということからだ。俺が前に出ると諏訪子が、
「さっさと始めようよ。長引かせても意味がないよ」
「今回は俺じゃないぞ。神奈子だ」
後ろから完全装備の神奈子が出てきた。
「八坂加奈子だ。土着神の分際で大和にたてついたことを後悔させてやる」
「生意気だね。私の方が年上なんだよ。敬意を払ってほしいな」
お互いすでに戦いを始めているようだ。
「まあまあ、二人とも。フェアプレイの精神で頼むよ」
なだめてもわだかまりはあるようだが。
「それではこれから、洩矢と大和の代表による決闘を始める。洩矢は負ければ国を大和に明け渡す。大和は負ければ、以後二度と洩矢に対し戦争を仕掛けない、二人ともこれでいいな?」
「いいよ」
「私は構わん」
これで双方は納得した。さて、始めるか。二人にある程度間合いを取らせて、開始だ。
「では、始め!」
諏訪子はすぐに距離を詰めてきた。神奈子は武器が武器なため距離を取ろうとしているが諏訪子はそうさせない。鋭いこぶしを放ってきた。神奈子は御柱で防ぐが、衝撃を吸収しきれずに吹き飛ばされてしまった。
「ぐはっ」
「大和ってそんな神様しかいないのかい?これじゃ、束になっても勝てないよ」
「まだだ!」
すると急にすごい風が吹いた。これは文以上の風だ。流石神というところか。
「うっ!」
ひるんだところに神奈子がすかさず御柱を投げた。すると御柱が6つに増え諏訪子に直撃した。
「やった!」
大和側のギャラリーが歓声を上げる。しかしそれで終わりではなかった。立ち込める土煙の中から、諏訪子が立ち上がってきた。
「痛ッ田ーーーー!これはなかなかきくね。でも私にはまだ秘密兵器があるからね」
「何!?」
そういって諏訪子が取り出したのは鉄の輪だった。
「これで、もう終わりだよ!」
しかし神奈子は焦らなかった。
「ふんっ、何かと思えばそんなものか。これで終わりだ」
というと諏訪子の持っていた鉄の輪がさびてしまった。
「あーうー。なんで急に錆びたの!?」
「鉄は空気にさあしておけば腐る。私が大気を操って、錆びるのを早くした」
これで勝負は決した。
「じゃあ、神奈子、大和の勝ちだ。洩矢の国は明け渡してもらうぞ」
「あーうー。おとなしく従うよ、私はまたどこかに行くよ」
諏訪子は負けたからここには居れない。別の場所に行くしかないのだ。
「いや、そうでもないわよ」
声を発したのはひなただった。
「あなたの操っているミシャグジ様は、祟りがあるとかで恐れられてるらしいわね」
「そうだね」
「なら、それをしっかり管理してくれれば、別にいてもいいわよ。大和は寛大でなくちゃ」
「管理とはちょっと違うけど、まあいいよそれで」
こうして洩矢の国は大和の傘下に入ったのだった。
文たちいつ出せるかな