犬耳少女と仲良くなろう
今回は長いです。切るのって難しいですね。
あの家は増築した。今は4人が住んでいる。遊助、文、勇儀、萃香だ。なぜだろう、奥手になってしまっていた自分を戒めたい。そう考えながら犬走椛は戸の奥から聞こえてくる声を聴いていた。
「はあ、文だけじゃなく、鬼の二人にまで先を越されてしまうなんて、私も遊助さんと一緒に住みたいなぁ」
思わずそうつぶやいてしまった。最初に自分に反撃してきたときに一目ぼれした。妖力のコントロールの練習に付き合っていたのも彼をもっと知りたかったからだ。そして勇儀と殴り会った時、確信した。私の相手は彼しかいない、と。しかし誤算だったのはみんながそう思っていたことだ。策も講じず、奥手で躊躇してしまっているうちに彼は離れてしまった。そんなことを考えながら、彼の家の前に立っていると見知らぬ妖怪に声をかけられた。
「すいません、犬走椛さんですよね?」
「はいそうですが、何か?」
そう返すと男は姿を変え、普段妖怪が隠している姿に変わった。
「僕に食べられてください」
俺たちが酒を飲んでいると、外から悲鳴が聞こえた。その悲鳴が椛のものだと最初に気付いたのは文だった。急いで外に出てみると、そこにはもう誰もいなかった。ただ、そこには椛のいつも使っている剣が落ちていた。
「ああ、椛。どうしてここに来たの」
文はそういっているが、そんなことを言っている場合ではない。早く探さないと。
「文、さらった妖怪に心当たりはあるか?」
「わからないわ、でもたまに人だけでなく妖怪を食べる妖怪もいるって聞くけど・・・」
いったい誰が、と玄関の周りを見渡すと血痕があった。
「おい、文、これ椛のか?」
「い、いやこれは天狗のちじゃないわ。でも誰かしら」
森の奥まで続いている。そこに椛がいるのだろうか。
「とにかく犯人のかもしれない。行くぞ」
俺、文、勇儀、萃香は森へ入って行った。
ぴちょん、ぴちょん
水滴の音で私は目が覚めた。あの時見知らぬ妖怪に襲われ剣で抵抗したが、結局さらわれたしまったのだろうか。
「目が覚めました」
松明の明かりの方から声が聞こえた。
「あなたは、私をさらった妖怪ね」
「その通り。そしてお前にはには私の糧となってもらう」
「なんですって!?どうして妖怪が妖怪を食べるのよ!」
「それはあの廿楽遊助も同じことだろう」
「えっ?」
「奴はかつて人間だったにもかかわらず妖怪の力を手に入れたんだとか。同じ要領で私がお前を殺せば、その天狗の力をものにできると考えましてね」
「そんな・・、なんてことを考えたの!」
抵抗しなければ、殺される。
「残念だが、お前は私には勝てん、私はすでに1000人ほど喰らっているからな」
もう駄目だ・・。遊助に思いを伝えられなかった。文とももう二度と会えない、さよならみんな・・
「これで白狼天狗もいただきだ」
でも死にたくないな・・。と思った瞬間洞窟の入り口の方から、
「おっと、そこまでだ。誰だか知らんが妖怪さんよ」
「貴様は、廿楽遊助!」
遊助が助けに来てくれた。文も、勇儀も萃香もいる。
「遊助!」
「待ってろ椛、すぐに助けてやるから」
というやり取りをしていると、あの妖怪が、
「廿楽、、、なぜ貴様は私の邪魔をする。私も貴様と同じことをしているだけだぞ」
「そういわれてもなぁ、椛を喰われるわけにはいかないし」
そう答えると、男は、こう答えた。
「ならなぜ、貴様は妖怪の力を得た」
「何?」
「貴様は他の数多の妖怪を切り捨てその力を得たのであろう。貴様がよくてなぜ私はだめなのだ」
すると遊助は驚いたような顔をした。
「どうしてそれを知ってるんだ。この里の妖怪には誰も教えてないんだが」
「私は、あの時の戦いの生き残りだ」
「なに!?」
男は語りだした。
「お前がほぼ一人で妖怪を殺しているさまを見て思ったよ。妖怪を喰えば自分ももっと高みに行ける、とな。だから私はこの数千万年妖怪を見つけては喰った。背そして今のお前を私はすでに超えているのだ!」
「そうか、俺の真似はするもんじゃないぞ」
「だまれ!ここで貴様も私の糧としてくれるわ」
すると男は、妖怪の姿に変化した。先ほど見た姿とは違った。目は無数にあり、体にいぼができ、とても直視することができないような姿に変わった。
「かなり混沌としてるなおまえ」
「それほど喰らったということなのだよ」
「そうか」
遊助はふう、と息を吐いた。そして
「みんな下がっていろ」
というと、自身も変化した。こちらは、全体が黒く、大きな翼と尻尾が目立った。
「あまりこの姿を見せたくないんだがなぁ」
「いいさ、その姿を見せるのは今日が最後なのだからなぁ!」
妖怪となった男はものすごいスピードでとびかかって行った。遊助はそれを受け止めたが、衝撃を吸収しきれず、洞窟の外まで飛ばされていった。
「どうしたそんなものか」
「いや、まだだ。それにお前にも一撃入れてやったぞ」
「なに?これはっ、ぐああ!!」
男が呻きだした。沿いて横腹の小谷を手で押さえ始めた。
「それかなり強力な毒だから。もうお前は立つこともできないはずなんだが」
しかし苦しがっていた男は突然笑い出した。
「ふふっ、ふははははははぁぁ!」
「どうした?痛みで気でも狂ったか」
「この程度で私を殺すことはできんよ」
すると、男は私の視界から消え、次の瞬間には遊助を男の腕が貫いていた。
「ぐはっ」
遊助は力なく崩れ落ちた。
「「「「遊助!」」」」
私を含め皆が叫ぶが遊助は起き上がらない。
「案外よわかっな。待っていろこいつを喰ったらすぐに貴様らももらってやる」
「いやあ、遊助、」
文は涙を流している
「このっ!」
勇儀と萃香がとびかかるが、男が手で仰いだだけで、吹き飛ばされてしまった。もう駄目だ、私のために皆が殺されてしまう。
「まだ、だぞ」
遊助が起き上がった。傷はすでに治っていた。
「できればこれは使いたくなかったんだがなぁ」
と彼は手元に光り輝く剣を生み出した。
「この剣、なんて名前にしようかな、草薙剣とかでいいかな」
「なんだ、その力、私の知らない能力だと!?」
男は驚いている。私も知らなかった。遊助は今まで一度もこんな力は使ったことがない。
「そりゃ、そうだろうな。これは俺のもともとの能力だ。ま、使えるようになったの最近なんだけど」
というと、彼は、男に向けて剣を振るった。すると男は腰から上と下に分かれてしまった。
「そんな、どうして。私は最強の妖怪だぞ!」
「この地から神様からもらったからな。そりゃ勝てないわ」
というと遊助は、男の頭を刺し貫いた。男はすぐに死んだ。
「さて、遅れてすまなかった椛」
「いや、大丈夫、遊助。それより」
私は、遊助の唇に自分の唇を重ねた。
「おっ??」
「好きです、結婚してください」
「いいよ」
遊助は即答した。それはうれしかったが、この後文に、朝まで怒られる羽目になってしまった。
3章の準備もしないと