復活するその前に
幻想郷の嫁が悲しんでいることなど知ることもなく、廿楽遊助は別の場所で眠り続けていた。その隣には例の神様が。
「ふぅ、なんとなくそれっぽくはなったかな。あとは目覚めて前と変わりないままでいてくれれば成功なんだけど細かい調整も含めたらあと何か月かかるかな。あー、神様は大変だなー」
彼は誰も聞いていないのにそんなことをぺらぺらと話す。本当は誰かに自分が頑張っていることを伝えたいのかもしれない。その気持ちが伝わったのか、紫がスキマから出てきた。遊助がここにいることを知っているのは神様と紫だけだったりする。
「それで、進捗はどうなの?体は完成しているみたいだけど」
「そうだねぇ、まあ僕としては君たちと僕が知っている限りの記憶を戻してみて彼がそれでも問題なく目覚めれば成功かな、って思ってるんだけど」
「で、それはできそうなの?」
「まあ、なんとかなるとは思うけど。ただ時間はかかるよ。だから、しばらくは来ても何も伝えることはないと思うけど」
神様は割と寂しがり屋の気があるほうなのに来る必要はないといった。神は弱みを見せないものだからだろうか。しかし紫は、横たわる遊助の顔を覗き込み、やさしげに微笑んでから
「この顔を見ることに意味があるのよ。だから3日に一回くらいは絶対に来るわ」
「来るの?まあ、それは好きにしてくれて構わないんだけど、僕のほうでやることが終わったら君とあの銀髪の医者とあと誰だっけな・・・あ、そうだ!あのひなたって彼に呼ばれてた娘連れてきてくれないかな?」
「それは、まあできるけどなんで3人だけなの?ほかにも呼んだほうがいいんじゃないかしら?」
なぜか3人だけ指名されたことを疑問に思ったゆかりはそれを聞いてみた。すると神様は
「まあ、理由は3人がそろった時に話すから、とりあえず集めておいてくれ」
といった。紫ははっきりとしていないのになぜか信用することができた。
「わかったわ。じゃあ、私は帰るから」
納得したゆかりは自らの隙間に消えていった。また一人になった神様は眠り続けている遊助の頭をなで名がら、
「片割れ君がうらやましいよ、いろんな人に愛されててさ。君はその場所に戻るべき存在だから、僕は全力で君を生き返らせるよ」
とつぶやいた。




