鬼嫁と一緒
代休ってのはいいもんですね
文と結婚してから、何年がたっただろうか。妖怪はほとんど子供を産まないようだ。やはりsy供物連鎖の上の方は少なくなるということだろう。家に子供がいないせいか、文は里の子供たちをよくかわいがる。人間は子供が多くていいな、なんて呟くんだから、子供はとてもほしいんだろう。なんかかわいそうだな。でもその子供の代わりに俺がもっと文を喜ばせてやらないと。
とはいえ、文はやっぱり子供好きなので、今日も子供たちと雑木林の方へ遊びに行っていた。
「しかし、暇だな」
縁側で朝からずーーっと座っている。テレビとか創りたいなーと本当に思う。
「だれかこないかな。昼酒も一人じゃあれだし」
そう思っていると玄関の戸をたたく音が聞こえた。噂をすればなんとやらだ。戸を開けると勇儀がいた。
「ああ、勇儀か。丁度退屈してたんだ、まだ早いが酒でも飲まんか?」
「いや、今は飲む気分じゃない」
酒好きの勇儀にしては珍しく飲みたくないといってきた。
「じゃあ、何の用だ?」
「それは・・・私をもらってくれ!」
「は?」
縁側で茶をすすりながら勇儀と話す。
「もらってくれってのはどういう意味だ」
「ああ、私もそろそろ結婚する時期になったんだが、男鬼どもは弱くて私の相手ができないんだ。それで気づいたら結婚していないのは私と萃香だけになっちまったんだ」
ああ、なるほど。要は勇儀より強い鬼がいないから独身になったってことだな。
「で、なんで俺なんだ。わざわざ結婚している俺にしなくても・・・」
「私は、お前のことが好きだったんだ!お前の強さとお前に惚れちまったんだ!2番目でもいい、そばにいさせてくれ」
「いや、俺は別にかまわないが文がなぁ・・・言ったら殺されちまう」
「どうしてもか」
「ああ、どうしてもだ」
「なら既成事実を作るまでだ!」
そういうと勇儀は俺にとびかかってきた。距離が近すぎて反応ができず、俺は押し倒されてしまった。
「ばか、落ち着け!取り敢えず文と話をしてから」
「うるさい、この立ち位置ならあんたを殺すこともできるんだよ。おとなしくしててよ!」
これぞ鬼嫁だ。逆らったら流石に殺されるかもしれない。
「落ち着いてくれ勇儀、早まるな!」
「安心しろ、もしお前を殺してもそのあとすぐに私も行くから。寂しい思いはさせないよ」
怖い、いつからこいつはヤンデレになったんだよ。とにかく死にたくはないな。あきらめて勇儀に身を任せているとガラッと戸のあく音がした。
「遊助、勇儀・・・何してんの?」
「い、いやこれは違うぞ文。浮気とかではないからな」
「下がってろ文、私は遊助の嫁になりたいんだ」
それを聞くと文がわなわなと震えだした。
「ねえ、遊助、私を英会陰に愛してくれるんだよね?」
「もちろんだ、文。だからとりあえず勇儀を落ち着かせてくれ。このままじゃ殺される」
「言い訳は聞かないー!」
どがんっ
あたりを暴風が包み込み家具やらなんやらが俺と勇儀にあたった。そして茶碗が俺の頭に当たり、俺は意識を失った。
その後俺と勇儀は、文に事情を説明した。勇儀もあれは錯乱していてやったことだったので、すまないとか言っていた。で、結婚のことなんだが、結局文が
「仕方がありません。でも私の見えないところでうわぉされるよりはましです」
ということで認めた。これで3人家族になったわけだ。これで一件落着かと思っていたところ、勇儀がとんでもないことを口にした。
「あと萃香も嫁になりたいんだってさ」
この後俺は文の暴風で3時間責められた。
誰かひとり忘れているような・・




