永遠亭に行ってみた
船の中には豊姫が扇子を仰ぎながら待っていた。
「さぁ、行くわよ。先生のところへ」
豊姫は扇子を自分から自分の横に向きをかえ空間を薙いだ。するとそこには俺がいつも使っているスキマのような裂け目が生まれた。
「あの、永琳が俺のことを忘れてるのにはいろいろと事情があるんだが・・・」
「なら、それを確かめるためにもいったほうがいいでしょう?」
俺はこいつらには本当のことを言っても問題ないと思っていたのだが、それを言わせる前に裂け目の中に引きずり込まれてしまった。
「うおっと、ここは、竹林か?」
「そうみたいですね。私やお姉さまはこのあたりのことは知りませんが、この近くなのは間違いないですね」
確かにここら辺の道には何となく覚えがある。俺たちの足元から続いている道を歩いていくと永遠亭のはずだ。
「確かこの先だと思うぞ」
しかし依姫は歩き出す前に地面を見ながら
「そうですね。ただこの先に罠があるように感じるのですが」
と言った。そういわれてみると少し先に明らかに怪しい落ち葉の山が道の真ん中にある。落とし穴のようだ。まあ、誰が仕掛けたのかは大方予想がつくのだが。
「お姉さま、やはり面倒ですからまた能力を使ってください」
「あら、それなら遊助がやればいいんじゃないの?この辺りのことは遊助のほうがくわしいんだから」
枠外で2人とはいろいろやっていたりするので能力は持っているが、もっぱら紫の能力のほうが使うことが多い。豊姫の能力のほうが強いらしいのだがいまいち使い方がわからない。
「この中に入ってくれ。お前の開いたのよりは居心地よくないとは思うがな」
「あら。大して変わらないわよ。それにすぐ出るんだから関係ないわ」
豊姫のほうは違いを気にしていないようだ。
今度は、永遠亭らしき大きな屋敷の前の門のところに出た。
「ここね。先生、元気にしてるかしら」
「私は、昔逃げたペットのことも気になりますね。先生に迷惑をかけていないか心配です」
「鈴仙だろ?永琳の助手をしっかりと勤めてるはずだ」
「そうですか。ならいいのですが」
と、俺たちが話していると、門が開きそこから鈴仙が出てきた。
「あのー、どちらさま、って豊姫様、依姫様!?」
「久しぶりですねレイセン、あなたには言いたいこともいろいろありますがその前に八意先生に会いましょう」
鈴仙は少し考えてから、
「師匠、ですか?ちょっとお待ちください」
と建物の中へ小走りで入って行った。




