なぜか永遠亭に行くことに
空に浮かぶ船が何者かに気付いたのは俺だけだった。やがて船は地面から10m程のところで動きを止めた。すると今度は船からスピーカーのようなものが出てきて
「遊助ー、この幻想郷にいるのはわかってるんだからすぐに出てきなさーい」
と豊姫の声を響かせた。
「お、おい、お前のことを呼んでいるみたいだぞ。行かなくていいのか?」
慧音が心配そうに俺に聞いてくるので、俺は船のほうまで向かうことにした。
船のほぼ真下まで来ると、タラップが下りてきて、そこから依姫とウサ耳の女の子が出てきた。
「おう、依姫、久しぶりだな」
「遊助、あなた私とお姉さまとの約束、覚えていますか?」
「うっ!お、おぼえてるぞ。また会いに行くって言ってたよな?」
ヤバい。今まで忘れてたし、思い出したのもたった今だ。
「そうです。ですが、あなたは全然来ないばかりかこんな穢れのたまった地上でほかの女と一緒にいるじゃないですか。忘れてたとしか思えないのですが」
「それは、まあそういう風に感じるかもしれないな。でも、覚えてたし、そのうち行くつもりで・・・」
「そのうちが1万年後とかになりそうだから来たんです!お姉さまは今度はここを更地にしてしまいますよ。いいんですか!?」
確かにそれはまずい。2人と戦って勝つことはできるが、攻撃を完全に抑えることはできない。あの扇子、一回仰いだら森が一つ浄化されるほどのものみたいだから里で使ったらどうなるかは想像がつく。
「わ、わかった。今から月に行くから」
「それはいいです。ただ、私たちと一緒に八意先生のところに会いに行きましょう」
「え?なんで永琳のところに行くんだ?」
「この前お会いした時にあなたのことを知らなかったという話は覚えていますよね?それをもう一度確かもに行くのです」
そういえばそんなことがあったな。まあ、この世界のほとんどのやつは俺のことを覚えていないから特に気にしていなかったが。
「まあ、それにはいろいろ事情が・・・」
「なんでもいいですから行きましょう。お姉さまの能力ですぐ着きますから」
と依姫は俺のシャツの襟をつかむと船の中に引きずり込んでいった。その姿を下で見ていた晴明たちの声が聞こえたが、それに返すことはできなかった。




