先生が戻ってきた
翌日一週間という話だったので、また寺子屋に向かうと
「おっ、遊助か。今日もこんな早くに来てたのか」
と慧音が普通にいた。
「あれ、慧音もう元に戻ったのか?」
「ああ、どうもそうみたいだ。今回はすぐに元に戻って歴史の編纂作業を一夜漬けする羽目になったよ」
そういえばそんなこともやってるんだったなぁ。寺子屋もやって歴史書の編纂もやっていて案外慧音は忙しいんだな。
「私はもっと遊助と一緒にいたかったですわ」
「まあ、そういうなよ。慧音がいたほうが寺子屋らしいだろ」
そういうと晴明も
「そうですわね。今日はあの巫女がいませんからその分一緒にいれそうですわ」
「そうだな。今日は私が授業をするから2人はこれの採点を頼む」
暇つぶしがもらえるならありがたいな。晴明の機嫌もよくなりそうだし。
俺たちのいる部屋から教室はあまり離れておらず、慧音の授業が聞こえてくるが、聞いていてすごい退屈である。まず何を言っているのかがわからない。たぶん子供は知りもしないであろう固有名詞ばかり並べているような気がする。もっとわかりやすくしてやればいいのに。
「やっぱりわかりづらいですわよね?」
「お前の言うとおりだったな。あいつ先生は向いてないかもしれないな」
「でもさすがにそれを言うと慧音さんは傷ついてしまいますわ」
確かにその通りだ。こういうのは本人には知らせないほうがいいな。
慧音は授業が終わった後何も知らない様子で戻ってきた。
「しかし子供たちもよく寝るな、だから私は頭突きしてるんだが」
「いや、頭突きはやめとけよ。絶対痛いだろ」
「だからやるんじゃないか。それならみんな気を付けるだろ」
正論といえば正論なのだが、頭突きがあっても慧音の授業はつまらないと思う。子供たちが少し気の毒なような気がする。と、慧音は急に棚から本を一冊取り出して
「話は変わるんだが、私が昨日編纂しようと思った歴史におかしなところがあってな」
「へぇ~、どうおかしいんだ?」
「それが遊助がここに来るずっと前に、廿楽遊助という男が確かに幻想郷いたらしいんだ。もしかしてお前じゃないのか?」
また雑な仕事を。あの神様本当に適当だな。ごまかす意味もないが、言ったところで晴明ぐらいしか信用してくれない。
「いや、きっと人違いだろ。俺はずっと外にいたぞ」
「そうか。私ももう一度確認してみる」
とりあえずやり過ごせた。そろそろ限界か




