妖怪と仲良くなる努力①
新章スタートです
ちゅんちゅん。
「ああ、朝か。しかしよく寝たな。こんなに良く寝たのは初めて・・って俺何千万年眠ってたんだ?」
起きた場所は洞窟の奥のような場所だったのだが、今がいつなのか見当がつくものがない。取り敢えず日が差す方へ歩いていくと、そこは森林であった。クレーターは存在しなかった。
「いやはや、しかしどうしたもんか」
すると空から、奴の声が聞こえてきた。
「おめざめですか?」
「おお、お前がいれば話が早い。今って何年だ?」
「どうしても教えてほしいんですか?」
「ああ、どうしてもだ」
「じゃあ仕方ありませんね、とはいっても暦はありません。でもピッタリ5千万年寝ていますよ」
マジか。だいぶ寝ていたようだ。それにだんだん思い出してきたが、今は妖怪もまたいるんだよな。
「じゃあ、私は忙しいので帰りますね。妖怪の山はここから一時間ほど歩いたところですよ」
「そうか、ありがとう」
正直寝ている間もいろんな夢を見ていて、そこでいろいろと考えていた。前ほど妖怪は嫌いではない。でもまだ憎しみもある。
妖怪の山の麓までやってきた。
「うわー、だいぶ荒れてるな。道っぽい道がない」
倒木やなんかで、人が通るのはおおよそ無理そうな道になっていた。とはいえ今の俺は妖怪なので、登れそうだ。
「さて、登るか」
歩み始めたその時、のど元に二本の剣が突き付けられた。
「とまれ、そこの人間、ここには入れんぞ」
「だから、私達が食べてあげるわ」
二人はそれぞれ犬耳と黒い翼をもっていた。
「いや、別に用はないんだが、食われるのは嫌だな」
「あなたに拒否権はないのよっ!」
剣を振りながら言ってきた。話聞いてほしいな~。
「まあ、俺がただの人じゃないと分からないうちは未熟だな」
俺が剣を手で受け止めた。彼女は驚いていたが、そこから、剣を折ると、彼女は、後ろに飛びのいた。
「あんた、いったい何者なのよ!」
「ん~、元人間ってところだな」
「ふざけないでください!」
犬耳の方も切りかかってきた。剣を折るのは単調なので、普通によけて、鳩尾に一発。
「かはっ」
気絶したか。妖怪も昔と変わらずそんな強くないな。
「椛!」
黒い羽根の奴が叫んだ。あの犬耳椛っていうのか。
「まあまあ、落ち着いてくれよ、話聞いてくれりゃ殺す気はないから」
と言っているにもかかわらず、飛んでかかってきた。速いな、でも捉えられそうだな。
「ほいっ」
手をつかんで地面に落とした。と言っても優しくだ。
「きゃっ」
彼女もまた気絶してしまった。
「どうしたもんか」
放っておくのもあれだしな。
「仕方ないか」
俺は二人を担ぎ、山を登り始めた。
「はぁはぁ、疲れた」
2時間ほど二人を担いで登ったところで。ようやく建物らしきものが見えてきた。木の平屋建てだ。その奥にあるこの周りでは一番立派に見える建物を訪ねることにした。
「ごめんくださーい、天狗二人持ってきましたー」
少しふざけて行ってみた。する遠くから一本の長い角を持った奴が現れた。
「こちとら気持ちよく寝てたってのに何だって、って文、椛どうしたんだ!?」
これが鬼ってやつか。俺の勘がこいつは強いとっている。今戦うのはちょっとな。
「この二人は、俺を襲ってきたから、気絶させたんだ。特にけがはしてないと思うから、寝かせといてやれ。じゃ、これで」
「まて、あんた妖怪か?」
「元人間だけど、今は妖力も持ってるんだ。でも、扱いきれなくて」
すると鬼は、
「そうか、じゃあ少し話さないか?」
「そうなんだ、俺は妖怪を殺しているうちに妖力がついて・・・」
「ふ~ん、じゃあここでその妖力をコントロールする練習をしていったらどうだい?」
「いいのか?俺はよそ者だぞ」
「いいんだいいんだ。もとは人間でも、今は妖怪ならここの奴らも受け入れてくれるさ」
そんな話をしてここでしばらく暮らすことが決まったころに、さっきの二人が起き上がってきた。
「ん~、ここはいったい、って警備さぼっちゃった。どうしよう!」
椛とかいうやつは、だいぶ慌てている。そんなに仕事が大事なのか。すると今度は、羽根つきの奴が声を上げた。
「あっ、あんたはさっきの人間!よくもやってくれたわね」
すると鬼が口を挟んだ。
「まあまあ、落ち着け二人とも、こいつは妖怪だぞ」
「えっ?そっそれは失礼しました!」
俺が妖怪だと分かると急に謝りだした。素直な奴だな。羽根つきの方も、
「悪いことしちゃったわね」
と謝ってきた。
「そういえば、俺お前らの名前聞いてないんだけど」
「ああ、そうだったな、忘れてた。私は星熊勇儀、鬼だ」
「私は犬走椛、白狼天狗です」
「射命丸文よ。鴉天狗やってるわ」
そうか、天狗にも種類があるのか。そういえば忘れかけていたが、ここは東方の世界だ。鬼はもう一人いるんじゃ・・・
「そうか、じゃあこれからよろしく頼む」
まあ、いいや、今は。
「じゃあ、妖力の扱いは明日から教えるからな、その前におまえも一緒に呑まんか?」
「酒か、いいよ、付き合ってやる」
「今夜は楽しくなりそうだな!」
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