どうあがいてもベッドタイムはある
一日中妄想してた記憶しかない
建物に戻って、もう寝ようかと思っているとドアをコンコンとノックしてくる奴がいた。
「入っていいよ」
俺がそう扉の向こうに伝えると、ドアノブがガチャリと回り、早苗が入ってきた。
「すみません、お休みでしたか」
「いや、別に。早苗の方こそ寝てたと思ったけど。起こしたか?」
早苗は首を横に振りながら、
「とんでもないです。ただ寝ようと思ったんですがなぜかお布団と枕がなくなっていて、上にあるということで」
「えっ、そうなの?」
俺が部屋の隅の方を見てみると、布団と枕が確かに1セット置かれていた。
「あっ、ほんとだ。誰が置いたんだろ、まあ俺がしたに持ってくから先に行ってて」
しかし早苗は、もじもじしたままその場を動こうとしない。
「どうした?もってくから下に・・・」
「あの・・・一緒に寝ませんか?嫌でしたら無理せずともよいのですが・・・」
早苗が急に積極的になった。うれしくないわけないのだが、早苗の両親が近くにいるのに、それやったら流石にまずいだろ。
「それやったら主に俺がここにいられなくなるような」
「大丈夫です。一緒に寝るだけですから。寝るだけですからね!」
なんで恥ずかしがるんだ。じゃあやめればいいのに。
「恥ずかしがるならそんな無理しなくても・・・」
「いや、寝ましょう!それに私ほんとに眠いですし、もう布団も敷く気になりません」
早苗はわざとらしくそのばによろよろとへたり込んでしまった。立て、といっても変わらなさそうなので、俺も妥協するしかないのか。
「わかったわかった。布団二つ敷くからそれで勘弁してくれ」
「そうですか。まあ、一緒に寝られるんならそれでいいですよ、遊助さんがどんなかんじで寝るのか気になりますし」
なんでそれが気になるんだよ、と思いながら布団を二つ敷いた。一つは俺が自分で創造したやつだ。
「じゃあ、早苗寝るぞ。巫女服のまんまでいいのか?」
「あっ、そうでした。じゃあ着替えてきますからちょっと待っててくださいね」
早苗はさっと立ち上がって下へ降りて行った。やっぱり疲れてなかっただろ。
数分後、巫女服とは違った可愛さのあるパジャマ姿で早苗は戻ってきた。
「じゃあ、寝ましょう。電気消しますねー」
早苗は部屋に入ってくるなりすぐに電気を消した。
「早いぞ、まだ準備が」
「寝るだけなんですから、いいじゃないですかそんなこと。さあ、寝ましょう」
そういわれ、仕方なく床に就いたが、暗闇でもわかるくらい、すごい強い視線を浴びている。
「早苗、眠れないのか?」
「いえ、遊助さんこそそんなに警戒してどうしたんですか」
と言いつつも、徐々に早苗が俺に近づいてきている。普通ならウハウハな展開だし、いやではないのだが、何度も言うように場所が場所だからな。
「そんなに警戒しなくても近くで寝るだけですから」
そういって、早苗はすやぁーと寝息をたてはじめた。あれ?なにも起こらなかった。
「俺が警戒し過ぎてたのかな」
その日は普通に眠ることができた。
ツンか病みか・・・




