神社の住み込みになりました
英検受けてきた。
「遊助さん、今日も来ていただけますか?」
「別にいいけど」
放課後に早苗にそういわれ、反射的にOKを出した。家にいてもグダグダゲームをしているだけだしな。
「よかった、諏訪子様が昔のことを話せる相手が神奈子様以外にいなくて退屈しているということなので、今日は外ではなく中でのおつとめです」
諏訪子も千年何百年何をしていたのかは知らないが、洩矢の国のことを知っている人間はもう居ないし、大和の神と俺ぐらいが知っている程度だろう。神奈子とずっと話していたらいつかは飽きてしまうだろう。
「わかった。課題は全部終わったし、終わったらすぐ行こう」
俺が早苗と話しているのを、悪友二人は
「ちくしょー!俺も行きたいぜ」
「図ったな、図ったな廿楽!」
いや、図ってないし。まあ、君たちはいい友人だったが君たちの生活態度が悪いのだよ。ガ〇ダムっぽいことを言ってきたので、心の中でそう返した。
放課後、早苗と神社まで歩いて行くと、不意に後ろに気配を感じた。どこかで感じたことがあるような気配だ。
「もしかして、紫か?」
後ろを振り向くと、そこにはスキマがあった。しかし、すぐに閉じてしまった。
「いましたね。今、後ろに妖怪が。お知り合いですか?」
「向こうは覚えてないけどな。いろいろあったんだ」
「すみません。聞かないほうがよかったですね」
「いや、気にするな」
紫に記憶があれば、接触を試みるはずだ。してこないということは、記憶は残っているが理由があって会えない、もしくはたまたまだったということだろう。と、考えていた時間は短いように感じたが、すでに神社の前に来ていた。
「今日はお話してもらうだけですので、制服で大丈夫ですよ」
本殿の中にいれられて、数分すると、早苗と諏訪子が来た。
「お待たせしました」
「妖怪君、よくきたね。ほんと神奈子はお固くて話してても10年ぐらいで飽きちゃったよ」
それでも10年話せていれば十分だと思うのは、人間の感覚か。
「まあ、長生きな君なら話すこともいっぱいあるだろうしね。それに私の国に来てくれたことがあるなら楽しく話せそう」
そのご諏訪子と俺は早苗も交えて洩矢の国について3時間ぐらい話していた。早苗は聞き疲れて、うとうとしていた。
「はぁ~、妖怪君、あっ廿楽だっけ?」
「廿楽遊助だ」
「そう、廿楽と話していると、やっぱり楽しいね。ここ住まない?」
その言葉で、早苗が急に起きてきた。
「ななな、何言ってるんですか、諏訪子様!急には私も遊助さんも無理ですよ」
「あ、早苗起きたの。いいじゃん、早苗は廿楽が好きなんじゃないの?」
早苗は顔を赤くして、首をブンブン横に振りながら
「ち、違います!ただ妖怪で、いい人そうだったので・・・」
「でも、今まで男を神社に連れてきたことってなかったよね。女の友達だってめったに来なかったんだから」
「そ、それは・・」
早苗は下を向いて黙り込んでしまった。
「決まりだね。廿楽は問題ある?」
ほんとは問題ありありなんだが、ここは男としての本能に負けてみた。
「一人暮らしなので、問題ないです」
「よかった。じゃあ、さっそく今日からね。早苗、お母さんには事情を説明しとくから」
俺のホームが神社になった。早苗と一つ屋根の下なんてぜいたくすぎる。
これで、諏訪子も神奈子もグっと近くなる・・・




