知っているような神社
早苗はやっぱり清純なイメージしかない。
今頃課題をやっているであろう友人2人を残して、俺は早苗の家、というか神社までついて行くことにした。
「で、なんで話せると思ったんだ?それに何を話すんだよ」
「そうでしたね、でも遊助さんにも有意義な話になるのではと思いまして」
何が有意義になるのかはよくわからないが、まあ行こう、向こうは絶対に覚えていないだろうが、1000年まえにあってるしな。久しぶりに見ておくか。曲がり角を曲がったところで早苗が止まって、
「ここです。長野にある諏訪大社の分社なんですよ。父は普通の会社員なので転勤するときに、住める分社があるということでここに」
「なるほどな。でもなんで分社なのに神様がついてきてるんだ。本家のほうにいるもんだろ?」
「それが、私が一族の中で一番才能があるということで、信仰を集めやすいらしくそれでついてこられているのです」
まあ、そうだろうな。というか、おそらく2人いるんだろうが関係は大丈夫なんだろうか。2人で鳥居をくぐり、神社の横にある建物に、早苗が入れてくれた。
「すみません、着替えてきますので少し待っててください」
彼女は俺を今に待たせて、自分の部屋らしきところに入って行った。5分ほどすると、制服から巫女服に着替えていた。生で見ると結構かわいいな。
「あの、そんなに見られると恥ずかしい、です」
俺が見入っていたのがやはり恥ずかしかったらしく、早苗は顔を赤くしてしまっていた。
「悪かったな。あんまり似合ってるもんだからつい」
「もっと、恥ずかしいじゃないですか」
早苗は視線が気になったのか、胸を抑えて行った。
「まあ、着替えたんならその神様とやらに会いに行こうぜ」
「わかりました」
建物を出て、神社の方へ進むと、近づくにつれ空気が変わっていくのが感じられた。昔感じたことがあるような空気だ。
「様子がおかしいですね。お二人はいつも私にメッセージを送ってきたりするんですが」
「実体はないのか?」
「はい。昔と違って人々の信仰が薄れてしまったり、神そのものを信じる人が減ったために力が昔ほどではないんです」
やっぱり信仰が減ってるんだな。神様も大変だな。
「あ、今声が来たんですが、遊助さんが強すぎるので追い返してくれと来ました」
まじか。神奈子とかビビるようなタイプじゃないと思ってたけどそうでもないか。
「そういうことなら帰るよ。神様の機嫌を悪くするわけにもいかないし」
「いえ、遊助さんにわざわざご足労いただいたのでちょっと交渉してみます」
わざわざそんなことしなくてもいいのに早苗はずっと話しているようだった。俺はまだいいが、はたから見ると一人で会話しているように見えるので、結構見てる方からは不思議な人に映る。30分ほどすると、早苗が振り向いてきて、
「許可が下りました。神奈子様が頑固だったので」
「いや、それならいいや。行こうか」
久しぶりの2人との再会のために俺は神社の中へ入って行ってみるのだった。
神様をデレさせるのは一苦労なので、早苗だけな気がする。贅沢




