幻想郷はあるべき姿に
土曜日も学校あるってどうなんだろ・・・
家に帰って皆いつも通り出迎えてくれたが、俺とあの男について知っているのは紫だけのようで、みんなは普通に動いていた。
「遊助、噂は誰が流してたの?ぜひ取材をしたいわ」
文も何も知らないようだ。何も知らないほうが幸せなことだってある。
「遊助も帰ってきたことだし、皆、宴を始めましょー」
司会進行がすっかり板についた椛の合図で夕飯、もとい宴会はいつものようにスタートした。
「ほら遊助も、どんどん飲んで、飲んで」
勇儀に進められて飲むがやはり不安であまり進まない。
「遊助。もっと飲まなきゃだめですわ。今夜は私と一緒に・・・」
「待ちなさい、それは私よ」
「いや、私だ」
夜のアレの話をすでに酩酊状態の晴明が言い出したことにより、酔ったみんなが乱闘を始めた。
「ほんとに、みんな落ち着け。お前ら全員の相手が可能ならしてやるから」
とりあえずこの事態の収拾を付けるために適当に言ってしまったが、やばいなこれ。生きて帰ってこれることを祈るしかない。
翌日なんとか息のあった俺はコカ・コーラでエネルギーをチャージしてから俺は今日向かうべきところがあると思い、里に行った。もしもの時のためには彼女の力を借りなければいけないだろう。里に入ると、人間はまだ警戒しているようで、俺を見るとそそくさと逃げて行った。しかし、今回用があるのは彼らではない。見覚えのある建物の戸をたたくと、しばらくして青みがかかった銀髪の長髪の女性、上白沢慧音が出てきた。
「お前は、遊助じゃないか。わざわざここに来るなんて何か用か?」
「慧音さん、実はお願いがあります。もし、俺が幻想郷から消えるような時があればできる限り俺の記憶をみんなから消してください」
すると慧音はまさか俺がそんなことを言うはずはないと思っていたようで、
「また、なんでだ。お前、噂のことを気にしてるのか?」
「噂は事実ではありませんが、もしかしたらここを出ていかなければいかないかもしれません。そのときはみんなに寂しい思いをさせたくないので」
俺なりの判断だった。俺が幻想郷に戻ってこれるという保証もない。その時に皆はどうなってしまうのだろうか。俺のことを忘れるような薄情な嫁たちではないからそこは心配していないが、少なくとも悲しむ。それだけで、俺はもう耐えきれなくなってしまう。
「もし、俺が幻想郷を出ることになった時です。そうならなければ使うこともないですから」
「私よりもはるかに長く生きているお前だからこそ、考えられることとかもあるかもしれないから止めはしない。ただ、歴史を喰えばお前とみんなの歴史が消えることになる。ほんとにそれでいいのか?」
「俺は何があっても忘れません。きっとです」
そうだ。俺は絶対に彼女たちのことを忘れることはない。また会うときが来たらその時は記憶をもどそう。それでいいはずだ。
「じゃあ慧音先生、俺の話はこれで終わりです。付き合っていただきありがとうございました」
「気にするな。お前と会えなくなったら寂しいが、また戻ってきてくれることを願うよ」
俺は慧音の家を出た後、里をぶらぶらしてから家に帰った。これで見納めにならないといいのだが。
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