嫁が増えました
部活の準備が終わったよ
あれから10年がたった。豊姫と依姫は成長したが他の面々は全く変わっていない。依姫は守備隊に入隊し、その実力であっという間に副隊長、つまるところ僕の代わりとなった。もうすぐ俺はいなくなるが、依姫ならば月でもしっかりと職務を遂行してくれるだろう。豊姫は、永琳から受けた教えを生かし、人々を導きたいと考えているようだ。二人にも程度の能力があると分かったらしいのだが、詳細は分からない。
「さあ、じゃんじゃん飲んでくれ」
今は宴会、主役は豊姫と依姫なのだが、姫路にお願いしてやってもらったらしい。理由がよくわからない。
「なあ、姫路。どうして宴会なんぞする気になったんだ?」
すると姫路は、
「今にわかるさ、これには君もかかわってくるんだから」
とつぶやいた。なんか俺したかなぁ。
そしてさらに時間がたち、夜も更け始めたころ依姫切り出した。
「遊助さん、聞いてほしいことがあるんです!」
「ああ、いいよ、言ってごらん。それとさんはつけなくていいよ」
すると依姫は顔を赤らめ
「じゃ、じゃあ遊助、あのね、その・・・私あなたのことが好きなの、大好き、愛してる!」
「えっと、これは逆プロポーズってことなのかな?このために宴会やったのか、姫路?」
「そうだよ、2人がプロポーズしたいって言ってきたからこの場を作ったんだ」
なに、二人?ということは豊姫も・・
「そう、私もあなたが好きなの、私と依姫もらってくれる?」
俺は別にかまわないのだが、問題は永琳だ。恐る恐る永琳の方を向くとにこにこしていた。
「実は私、その話先に聞いていたのよ。だからいいわ、認める」
ほっ、よかった。永琳を怒らせるのはまずいからな。
「じゃ、じゃあ、二人ともおれの嫁かな?新しい家族だ」
「「はい、よろしくお願いします」」
二人が声をそろえて言ってきた。姫路も感極まったのか泣き出してしまった。
「ほれほれ、泣くな姫路。お前と俺なんだから、二人とはいつでも会えるだろ」
「でも、、、なんか遠くに行ってしまうような気がして」
「だから気にすんなって」
宴会は夜明けまで続いた。みんなが寝た後、俺はいつものあの痛みに襲われた。
「ぐっ、ふっ、ああ!」
最近は手だけでなく、体のいたるところが変化してきた。時には尻尾も生えるようになった。俺は自分で作った薬で症状を抑えているが、最近は効かないこともある。あと数日で、永琳たちとはお別れである。
俺は痛みで限界が来たのか、眠りに落ちてしまった。
「またここか」
俺はあの神様と会う時のいつもの場所に来ていた。
「どうですか、満足の行く時間は過ごせましたか?」
「まだ、満足には程遠いよ。でも仕方がないな」
「そうですか、やはり未練が強いですね」
「当たり前だろ、家族と離れるんだ。悲しいに決まっている」
そう返した時にはすでにやつはいなくなっていた。
次に起きたときは、正午だった。依姫と豊姫とは、今度は付きでというう約束になった。その方が喜びが大きくなるんだそうだ。まあこれが最後とはいえるはずもないので黙っておいた。そしてついに移住が明日に迫った。永琳と過ごす最後の夜を記憶に焼き付けていると、
「ねえ、遊助。月でもまた一緒だよね?」
「あ、ああきっとそうだよ」
苦し紛れに答えたが嘘だ。永琳まで騙さなければならないなんて心が痛む。きっとまたどこかで会える。そう根拠のない自信を胸に俺は眠りについた。
次の章は誰を出そうかな